研究課題/領域番号 |
25560373
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
宮本 賢作 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (70304582)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | サルコペニア / 超音波 / 輝度 / 筋収縮 / 筋硬度 / エラストグラフィー |
研究概要 |
超音波画像における筋輝度については,安静時における画像に関して分析した報告があるが,筋収縮時の超音波画像の分析を行ったものはみられない。本年度は大学生を対象とし,安静時から筋収縮時における筋輝度変化について分析した。男女大学生86名を対象とし,足関節背屈における等尺性筋力(μTas-F1,アニマ)を最大(100%MVC)時,25%MVC,50%MVC,75%MVC時および安静時について測定した。また筋力測定と同時に前脛骨筋の超音波断面画像(BFI Measure,誠鋼社)を採取した。採取した画像をもとに関心領域における輝度平均値(ImageJ,NIH)について発揮筋力の違いによる分析を行った。また,組織弾性定量を反映するエラストグラフィ(Aixplorer,キャノンライフケアソリューションズ)と押圧式筋硬度(TDM-N1,NEUTONE)を輝度変化同様に発揮筋力ごとに測定した。今回の発表では,男女それぞれ筋力の上位群各5名(MH群,FH群),下位群各5名(ML群,FL群)の計20名について分析を行った。エラストグラフィおよび押圧式による筋硬度は,すべての群において筋力発揮の上昇に伴い,有意に増加した。一方,筋輝度平均値はMH群およびFL群において,筋力発揮の上昇に伴い,有意に低下したが,ML群およびFH群には有意な変化はみられなかった。エラストグラフィと押圧式筋硬度の間にはr=0.789(p<0.001)で強い正の相関関係がみられた。一方,エラストグラフィと筋輝度平均値の間にはr=-0.211(p<0.05)で弱い負の相関関係がみられた。また筋輝度変化率を従属変数としたステップワイズ重回帰分析では,体脂肪率のみが回帰係数-0.731で採用され,体脂肪が輝度変化に影響を及ぼす可能性が示唆された。今後,サルコペニア予備群の推定のために輝度変化の分析を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,本年度は高齢者におけるサルコペニアの実態を超音波画像,体成分分析(筋肉率,体脂肪率),骨密度等から調査する予定であったが,協力施設の選定および依頼手続きに時間を要すことから,次年度に実施予定であった大学生におけるサルコペニア予備群の推定のための実験からスタートした。また大学生男女86名の輝度解析は予算と時間の関係で専用プログラムの作成から役務費によるアルバイトによる手作業での解析に切り替えて,速やかに実施したため,年度内に被験者全員の輝度解析が終了した。次年度の早期に大学生の結果をまとめ,その後,既に協力依頼済の市内施設において,高齢者の実態把握についての測定調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり,初年度と次年度の研究内容を入れ替えたが,既に協力施設の手配が完了したため,高齢者の実態調査についても予定通り実施する。また,専用プログラムの作成は予算上の問題等から断念したため,引き続き,アルバイトを雇用して,解析を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
備品購入として輝度解析専用ソフトの開発を予定していたが、予算が組めなかったため、人件費・謝金により解析を進めた。また次年度も人件費・謝金による出費が超過する予定である。またその他は骨密度計の修理費であり、高齢者のサルコペニア調査において必要不可欠であるため執行した。そのため物品費は余剰傾向ではあるが、ほぼ相殺されていると判断している。 高齢者において今後測定した超音波画像の筋輝度解析には、今年度同様に謝金により支出する予定であるため、次年度の予算と繰越金を併せて概ね予算どおり研究が進行すると思われる。
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