今後の研究の推進方策 |
これまで、本研究では癌悪液質時における骨格筋萎縮進行過程とオートファジー の関係について免疫組織学的手法を用い検討しLC3とp62の共局在を認めている。また、LC3 とLAMP1の免疫蛍光二重染色では、一部の免疫陽性反応において共局在が認められたことから、骨格筋萎縮進行過程において筋細胞内のオートファジー分解過程が活性化している可能性が窺えた。しかしながら、癌悪液質時に誘発される骨格筋萎縮過程においてオートファジーを誘導する因子は明らかにされていない。そこで本研究では、多種の臨床情報付き癌細胞を移植したマウスから採取した骨格筋において、オートファジー関連因子(LC3,ATG-9,ATG-5,ATG-16,ATG-12)と癌由来の炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,IL-8,TNF-α)の発現について免疫組織化学法、western blotting 法、in situ hybridization法、リアルタイムPCR法を用い検討する。更に、悪液質時における骨格筋について、レーザー蛍光顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いるCLEM法によりオートファジー関連因子と炎症性サイトカインの超微細構造における局在関係について検討し、癌由来のサイトカインが悪液質時における骨格筋のオートファジー誘導に与える影響について明らかにする。これらの結果より癌悪液質の誘導・抑制因子を同定し、癌悪液質の指標を明確化する。また、臨床情報付き担癌動物において種類の異なる癌によって癌悪液質の発症や進行度のデータ整理を行うとともに、癌悪液質の発症と骨格筋萎縮が、癌細胞の種類により両者の発症や進行過程に影響を与える可能性について検討する。
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