本研究では、ヒト直腸癌を継代可能な免疫不全マウス系統を用い、骨格筋萎縮とオートファジーの関係について検討した。移植後3ヶ月時点で、腓腹筋を摘出しLC3とp62について免疫蛍光染色を行い観察した。対照と比較して担癌マウスでは体重・筋重量の有意な減少が認められた。担癌マウス筋線維内には、多くの点状又はリング状のLC3陽性反応が認められ、その数は対照に比し有意に増加した。p62陽性の点状構造も担癌マウス筋線維内に認められ対照より多い傾向を示し、その多くはLC3陽性構造と共局在を示した。これらの結果は、オートファジーが癌悪液質における骨格筋萎縮進行過程に関与する可能性を強く示唆する。
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