研究課題/領域番号 |
25560376
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
河野 寛 国士舘大学, 文学部, 講師 (40508256)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 潜水反射試験 / 循環器系疾患 / 副交感神経 / 徐脈 / 心肺体力 |
研究概要 |
平成25年度は潜水反射による徐脈の至適条件を検討するため、概日リズムに着目して実験をおこなった。若年男性11名(平均年齢27.2 ± 1.8歳、身長172.7 ± 6.2 cm、体重67.1 ± 5.1 kg)を対象に、潜水反射試験および体温、心拍変動、脈波伝播速度の測定を朝(9:00)、昼(13:00)、夕方(17:00)に実施した。潜水反射試験では、対象者に5℃以下の水に止息した状態で顔面浸水させ、安静時および顔面浸水中の心電図を記録した。顔面浸水の時間は30秒および最大努力の息苦しさまでの2種類とした。潜水反射試験で得られたR-R間隔から徐脈反応として最長R-R間隔を求めた。なお、条件の統制のため前日の夕食、当日の朝食および昼食は規定食を摂取してもらった。朝、昼、夕方の比較には一元配置分散分析を用いた。 最大努力の息苦しさまで続けた潜水反射試験では、朝の最長R-R間隔(1649.6 ± 576.8 mm)は昼(1450.0 ± 462.9 mm)および夕方(1502.6 ± 532.9 mm)と比較して有意に高値を示し、昼と夕方には差は認められなかった。30秒の潜水反射試験では時間帯による差は認められなかった。朝の体温および心拍数は昼および夕方と比較して有意に低値を示し、昼と夕方には差は認められなかった。心拍変動、血圧、脈波伝播速度には時間帯による差は認められなかった。 以上の結果より、体温および心拍数が朝に低値を示したことから本研究の対象者は正常な概日リズムを持つと考えられる。また、最長R-R間隔が朝に高値を示したことから、潜水反射に伴う徐脈は概日リズムの影響を受けると考えられ、潜水反射試験は時間帯を考慮して実施すべきであると推察される。今後、さらに対象者数を増やし、生化学的な指標を項目に加えて詳細に検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究におけるメインの測定項目である潜水反射試験に伴う徐脈について,概日リズムの観点から再現性を検討した結果,早朝空腹時に実施することが望ましいと考えられる。したがって,明確な測定基準の提案に一歩近づいた。この測定方法の確立によって,疫学的研究に応用可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
潜水反射試験に伴う徐脈を疫学研究に応用していく。ファーストステップとしては,横断研究における加齢および心肺体力の影響を検討する。生理指標を対象とした疫学研究においてベースとなる加齢の影響を検討することは,今後潜水反射試験が広く応用されるために必要不可欠であると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では数十名の被験者の採血をし,血清および血漿サンプルを冷凍保存している。平成26年度においてもさらに被験者を増やす予定である。平成25年度および平成26年度に測定された被験者の血液分析を,平成26年度にまとめて外注およびELISAによって効率的に分析することにしたため,平成25年度の使用額に変更が生じた。 平成25年度に冷凍保存した血清および血漿サンプルと,新たな被験者の血液サンプルを一括して分析する。
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