研究課題
平成26年度は,潜水反射による徐脈や動脈硬化関連指標である脈波伝播速度,心拍変動に対する加齢の影響を検討し,潜水反射徐脈の程度と動脈硬化関連指標との関係性を明らかにすることであった。対象は,若年男性31名および高齢男性11名であった。潜水反射試験では,対象者に5℃以下の水に止息した状態で顔面浸水させ,安静時および顔面浸水中の心電図を記録した。潜水反射試験で得られたR-R間隔から徐脈反応として最長R-R間隔を求めた。その他の測定項目は,血圧,脈波伝播速度,心拍変動(lnHF)であった。収縮期血圧,拡張期血圧,平均血圧,および脈波伝播速度は,若年者と比較して高齢者で有意に高値を示した(全てP < 0.0001)。lnHFは,若年者と比較して高齢者で有意に低値を示した(P < 0.05)。二元配置の分散分析の結果,潜水反射におけるR-R間隔は,有意な交互作用が認められた(P < 0.01)。若年者と比較して高齢者は,潜水反射前の平均R-R間隔が有意に高く(847 vs 975 ms, P < 0.05),潜水反射中の最長R-R間隔および潜水反射後の平均R-R間隔に有意差は認められなかった。しかしながら,潜水反射中の最長R-R間隔については,若年者の方が高い傾向にあった(p = 0.0607)。潜水反射による徐脈率は,若年者と比較して高齢者で有意に低値を示した(193 vs 128 %, P < 0.01)。これまで多くの研究が報告しているように,本研究の被験者でも加齢に伴って血圧や動脈硬化度が上昇し,副交感神経活動レベルは低下していた。このような一般的な被験者において,潜水反射試験による徐脈を評価した結果,加齢に伴い徐脈反応性が鈍っていることが明らかとなった。このことから,潜水反射試験が強い副交感神経刺激を与えていることがわかる。さらに,潜水反射による徐脈は,副交感神経活動を心拍変動解析よりも簡便に評価する方法として有効かもしれない。
すべて 2015 2014
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Journal of Physical Fitness and Sports Medicine
巻: 4(2) ページ: 印刷中
European Journal Applied Physiology
巻: 114(7) ページ: 1421-1428
10.1007/s00421-014-2862-5