研究課題/領域番号 |
25560380
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田口 貞善 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 客員研究員 (90086819)
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研究分担者 |
松生 香里 東北工業大学, 共通教育センター, 講師 (60513570)
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70511608)
山内 潤一郎 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (70552321)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 褐色脂肪 / 白色脂肪 / 運動 / 高所環境 / 低温 / 低酸素 |
研究実績の概要 |
環境変化は代謝特性を劇的に変化させ、生理的な適応反応を促し、身体機能に影響を及ぼす。本研究では、生体の生理的適応反応を惹起し得る低温や低酸素環境などの外的環境を材料とし、その環境が代謝特性へ及ぼす詳細なメカニズムを、特に褐色脂肪細胞の活性化にフォーカスして解析し、その適応反応を通して生体レベルでの脂質代謝亢進を誘発することを目的とする。ヒトが本来持つ環境適応能力を最大限に生かし、過食・運動不足を導き出した常温・都市化による均一環境である現代社会を見直し、メタボリック症候群(肥満)や糖尿病などの生活習慣病の予防・改善法の新たなエネルギー代謝改善法を探索していくことが狙いである。
白色脂肪におけるフォリスタチンタンパク質(Fst)が褐色脂肪細胞に発現する脱共役タンパク質1(UCP1)の発現を誘引する可能性が示唆されている。我々は、動物を対象とした実験で、走運動と乳酸を基軸とした飲用物の経口投与を継続することで、骨格筋のFst発現の増加を認めた。付随して、ラット白色脂肪組織におけるFstならびにUCP1のタンパク質発現量増加をもたらすかどうかを検討した。しかしながら、白色脂肪組織におけるFstならびにUCP1の十分なタンパク質発現量が認められなかったことから、今回ラットに与えた運動や栄養介入により与えたストレスは、FstやUCP1を増加させるに足るものではなかったと考えられる。
近年、腸内環境が脂質代謝に大きく関連することが示唆されている。そこで長距離・マラソン選手を対象に、高所トレーニングおよび合宿・遠征時など、外環境が変化した際に腸内環境が変化するかどうかを調べた結果、環境変化やストレスで、腸内環境が変化する選手と変化しない選手がいること、また、いわゆる善玉菌がほとんどみられない選手が存在した。脂質代謝様相や褐色脂肪の活性化について、今後、さらなる検討が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
運動や栄養、高所環境といった外的ストレスが生体に及ぼす影響を実験動物やヒトを対象に検討した。しかしながら、細胞や実験動物を対象に、低温と低酸素が及ぼす直接的な影響を調査する必要があり、今後の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
細胞や実験動物を対象に、低温と低酸素が及ぼす直接的な影響を調査する。 脂肪燃焼を目的とした一般的な運動処方は、特に肥満患者にとっては負担であり、実用化には効率のよい処方を確立する必要がある。そこで、本研究で得られる分子機序を基盤とし、実際に肥満患者に対して本学部に整備されている低酸素トレーニング室や低温刺激を加えた低強度運動の介入やサプリメントによる標的タンパク質の活性化など、効果的に脂肪量を減少させる研究を展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の成果を学会、論文で発表することを本年の主眼にして、旅費に予算執行することとした。また追加実験のための薬品、機材に予算執行する計画である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果について、最終年度でもあり、国際的に発表するため旅費を計上する。さらに、その成果を論文として国際誌に発表するため、原稿完成後の英文校閲費、論文掲載費に充てる。
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