研究課題
高齢化社会を迎えて様々な運動機能リハビリテーションの重要性が増している。運動機能リハビリテーションの基盤は運動学習である。運動学習においては、連続して行う集中学習よりもトライアル間に休憩を挟んだ分散学習が有利である。この分散効果(spacing effect)は休憩の重要性を意味するが、“休憩中”の神経機構に着目した研究はほとんどない。最近、“休憩中”にROS(活性酸素種)が産生されること、ROSが運動記憶に重要なNO(一酸化窒素)と相互作用して持続性のシグナル分子(8-ニトロ-cGMP)が生成されることが見いだされた。そこで、本課題ではNO系が重要な役割を果たす運動学習に着目して、休憩中に産生されるROSとNOの相互作用による持続性シグナルが分散効果への寄与を解析した。昨年度までに、中枢神経系における8-ニトロ-cGMP、さらに、8-ニトロ-cGMPによるCys残基が修飾されて生じるグアニル化タンパク質の分布を生化学的方法や免疫組織化学的方法などを用いて詳細に解析した。本年度は、小脳依存性運動である視機性眼球運動をモデルとして用いて、運動の長期記憶に対する休憩時間の効果を明らかにした。効率的な長期記憶の形成には、短時間の休憩(~15分)は不十分であり、休憩時間30分、60分が必要である事を明らかにした。これはROSの産生が45―60分に最大となる事とよく一致しており、ROSの関与を示唆している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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