研究課題/領域番号 |
25560386
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 発達・教育 / 反応性愛着障害 / オキシトシン治療 / 脳画像解析 / fMRI / 金銭報酬課題 / 線条体 / アタッチメント |
研究実績の概要 |
愛着障害(Reactive Attachment Disorder: RAD)は、子どもへの不適切な養育(児童虐待・ネグレクト)を受け、安定的な親子間の愛着が形成されないために発症する。患児の行動面や情緒面の不安定さから、学習や対人関係・社会性に支障をきたすことが問題となっている。本研究は、愛着障害の早期診断と治療法の足がかりを得ることを目的とした。最終年度である本年度は、以下の2つの研究を遂行した。
①RAD児と定型発達児を対象とした金銭報酬課題fMRIによる神経賦活の比較研究結果、RAD群では定型発達児と比べて、金銭報酬の高報酬獲得時(HMR-NMR)に有意な両側線条体の賦活度の低下が認められた (P < 0.05, corrected for multiple comparisons) 。すなわちRAD患者の金銭報酬への感受性低下が示唆され、黒質線条体経路のドーパミン機能不全との関連が示唆された。また、Strengths and Difficulties Questionnaire(SDQ;子どもの強さと困難さアンケート)による情緒・行動の重症度質問紙との関連を調べたところ、神経賦活度とSDQ行為スコアに負の相関がみられ(partial r = -0.34, p < 0.05)、行動の困難さが強いほど脳賦活値が低いことが示唆された。 ②RAD児へのオキシトシン点鼻薬または偽薬の単回投与前後のfMRI解析を行った。その結果、RAD群ではTD群に比べ、右側尾状核 (x = 14, y = 18, z = -6)の賦活度低下を認めた。また、オキシトシン点鼻薬の単回投与後、その賦活度低下が改善し、偽薬では有意な変化を認めなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
疾患の特異性のため、当初計画していた被験者が集まらず、リクルート期間を延長せざるを得なかった。 しかし、引き続き被験者をリクルートし、今年度中にMRIデータで最終解析を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
一連の脳機能に関する非侵襲的脳イメージング成果を活用し、RADにおける報酬系の関与を解明する。 また、さらに被験者を募集して、オキシトシンまたは偽薬の単回投与前後にfMRI検査を行い、脳活動変化を評価する。最終的に定型発達群とRAD群の二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験をする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
疾患の特異性のため、当初計画していた被験者が集まらず、リクルート期間を延長せざるを得なかった。 しかし、引き続き被験者をリクルートし、今年度中にMRIデータで最終解析を行う予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
引き続き被験者をリクルートし、今年度中にMRIデータで最終解析を行う予定である。
|