| 研究課題/領域番号 |
25560393
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| 研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
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研究代表者 |
細田 直哉 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 助教 (60622305)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 保育環境 / アフォーダンス / 保育室 / 異年齢クラス / ごっこ遊び / コーナー保育 / 情報 |
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| 研究実績の概要 |
平成２７年度には、これまでに発見したアフォーダンス（活動を支える環境の諸特徴）を実際の保育環境に埋め込み、子どもの活動の変化を観察し、その効果を検証するというアクションリサーチ的手法による実験を行った。
具体的には、研究協力園の３・４・５歳児異年齢クラスの担任保育者へのインタビューや子どもの活動の観察から、そのクラスの保育実践上の課題（Ａ：異年齢の関わりの少なさ、Ｂ：遊びの持続性や発展性の乏しさ）を把握し、それらを保育室内のアフォーダンスを変えることによって改善することを目指した。
まず、クラスの課題をその保育環境内にあるアフォーダンスとの関係で分析した。その結果、保育室は多様な遊びが生じることを意図し、複数の遊びコーナーを設けていたものの、１）各コーナー内にあるモノの種類や量が少なく、しかも、２）そのモノとモノの関係性には活動の多様性や発展性を意識した整合性がないこと、また、３）コーナー間のレイアウトも遊びの発展性を意識した配置になっておらず、むしろ遊びの集中を妨げ、干渉し合うような配置になっていること、さらに、４）各コーナーを仕切るついたてが高すぎるため、アフォーダンスの存在に気づくための視覚的情報が保育室内の各所から得られにくく、興味関心が子どもたちの間に伝播しにくいレイアウトになっていることなどがわかった。
そこでその保育室の遊びコーナーの中から、特にままごと遊びのコーナーを選び、そのコーナー内のモノのアフォーダンスを充実させ、さらに、家庭外のごっこ遊び（病院ごっこ）をそのコーナーに隣接して構成し、情報のレイアウトも改善することによって子どもたちの活動に変化が見られるかどうかを観察した。その結果、異年齢の関わりが飛躍的に増加し、遊びの持続時間や発展性にも改善が見られ、アフォーダンスを変えることによって子どもの活動に意味のある変化を起こせることがわかった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保育者へのインタビューと子どもの活動の観察により抽出した保育環境のアフォーダンス（子どもの活動を支える環境の諸特徴）の効果を検証するため、実際の保育環境を使ったアクションリサーチを行う計画であり、実際に部分的に保育環境を変化させ、子どもの活動の変化をみる実験を行ってきた。しかし、実際に日々の保育が行われている保育環境がその実験の舞台となるため、実験条件の統制が困難であり、環境を変える前と後との子どもの活動の明らかな違いを記述をベースにした質的なデータとしては示せても、さらにインパクトのある客観的・量的なデータの変化として示すためのデータの精度が不足しており、条件をより厳密に統制した追加の実験を行い、新たなデータを得る必要があるため。
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| 今後の研究の推進方策 |
保育者へのインタビューと子どもの活動の観察により発見された保育環境のアフォーダンスの効果を検証するためのアクションリサーチに加えて、実験条件をより厳密に統制した実験も行うことによって、子どもの発達を支えるために有効なアフォーダンスを確定していく計画である。
また、そうして発見されたアフォーダンスの汎用性を調査するため、様々なタイプの保育環境のフィールド観察や調査、また、そこで働く保育者へのインタビューを行なうことによって、少なくとも幼児保育室の環境に関しては、「保育環境のアフォーダンス事典」につながる基本的な要素を確定し、それを核として、今後は乳児保育室の環境、園庭の環境などに対象を拡げて、より包括的な「保育環境のアフォーダンス事典」の開発を目指す計画である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
保育環境の観察や実験の際に使用する計画であった子どもの動きの軌跡を記録する映像ソフトが、そもそも保育室の構造上の制約から、それが効果を発揮する位置にカメラを設定できないことが判明したため、購入を控えた。また、多様な保育環境を比較するため、追加のインタビューや観察を行う予定であったが、これまでのデータから確定できる点を先に確定してからの方が効果的な調査が行えると考えたため、最低限の予備調査にとどめたため、その分の旅費や謝礼を使用することがなかったため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度は、さらに精度の高い実験や観察を行うため、広角の映像を記録できるビデオカメラや子どもや保育者の音声を記録できる複数のＩＣレコーダーや指向性マイクなどを購入する予定である。また、多様な保育環境に関する追加の調査を行うため、全国の保育園に行き、その園の実践知をうかがうための旅費や謝礼に充てる予定であり、そのテープを文字起こしするための人件費にも充てられる。さらに、条件を統制した実験のために使用する玩具や家具なども追加で購入する必要がある。
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