研究課題/領域番号 |
25560400
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
櫻井 香里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447512)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フォトアフィニティープローブ / フォトアフィニティーラベリング / 天然物リガンド / OSW-1 / 結合タンパク質 |
研究概要 |
天然物の活性発現メカニズムの解明には、結合タンパク質の合理的な同定法の開発が最重要である。天然物リガンドの結合タンパク質を同定するためには、発現量が多様であり1万種以上存在する複雑な細胞内タンパク質群より、特異的な結合活性を有するタンパク質のみを検出し、単離する手法を確立する必要がある。天然物リガンドを固定化したアフィニティーカラムを用いる従来法では、高発現量の非特異的結合タンパク質が偽陽性検出される問題が古くより未解決であり、特異的な結合タンパク質のみの単離が困難である。この問題を本質的に解決するには、天然物リガンドが細胞系中でタンパク質と相互作用する際に、並行して起こる特異的・非特異的結合相互作用を識別し制御する方法論が求められる。そこで本研究では、天然物リガンドとして抗癌活性化合物OSW-1をとりあげ、有機合成法によりOSW-1を基盤とする活性型および不活性型の2種類の蛍光フォトアフィニティープローブを創製し、特異的・非特異的結合タンパク質をワンポットで識別検出するフォトアフィニティーラベリング反応システムを応用してOSW-1の未知結合タンパク質を同定することを計画した。平成25年度においては、OSW-1の部分構造を模したモデル化合物において、位置選択的に水酸基を蛍光ラベル、フォトアフィニティーラベルやクリックタグなど機能性官能基を導入することに成功した。また、植物試料より精製調達した無保護のOSW-1を用いて、同様の手法で1工程で位置選択的に水酸基を蛍光ラベルで誘導化することに成功した。合成したOSW-1蛍光プローブを用いてその細胞内局在を詳細に解析した結果、小胞体やゴルジ体に温度依存的に局在することを初めて明らかにした。これにより小胞体やゴルジ体がOSW-1の細胞内作用部位である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はOSW-1のフォトアフィニティープローブの創製に向けて、無保護のOSW-1を位置選択的に誘導化する方法を用いて蛍光プローブの開発を達成した。蛍光プローブを用いた細胞内局在解析より、結合タンパク質が局在しOSW-1の作用点の候補となる細胞内小器官の特定に成功した。これより次年度の計画の推進に必要な基盤的知見と方法論が確立したため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、OSW-1を基盤とする活性型・不活性型フォトアフィニティープローブを合成し、これらとOSW-1が局在する細胞内小器官画分のタンパク質抽出液を用いてフォトアフィニティーラベリングを行い、結合タンパク質の検出解析を行う。また、特異的に検出されたタンパク質のシークエンスを同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた機器の購入と旅費をそれぞれ別予算より支出したため。 次年度使用額は、平成26年度の研究計画の実施に際して必要となる試薬や溶媒、研究器具消耗品などの物品費、研究成果発表のための学会参加費用(その他経費)及び旅費として充当する。
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