Roseophilin(RP)生産菌Streptomyces griseoviridis 2464-S5におけるrphG遺伝子を、undecylprodiginine生産菌であるStreptomyces coelicolorのredG破壊株に導入し、代謝産物を分析したところ、その環化体としてmetacycloprodigiosinおよび新規環化体propyl-meta-cyclooctylprodiginineが得られた。したがって、RphGは、これまで報告されていない環化位置選択性を有する側鎖環化酵素であると考えられる。 rphクラスター中にはRPの特徴であるフラン形成およびクロル化に関わる遺伝子が見いだされないため、RP生産菌のドラフトゲノム解析を行った。その結果、rphクラスター外に、RPのクロル化に関わると考えられるハロゲナーゼ遺伝子を見いだした。その近辺にはオキシゲナーゼ遺伝子が確認され、二次代謝産物の骨格形成に関わる遺伝子群は認められないことから、これらがRP生合成遺伝子の一部であることが示唆された。 Thioviridamide(TVA)生合成に関わるtva遺伝子クラスターと類似の生合成遺伝子群を有する微生物をデータベース上に複数見いだした。このうちAmycolatopsis alba DSM 44262の生合成遺伝子クラスター中におけるTVA類似ペプチド前駆体のアミノ酸配列はSVIGFAVTIAVHCであった。次にこの遺伝子群をStreptomyces lividans中で発現させたところ、TVA様代謝産物の生産が確認された。本化合物の分子式は質量分析からC61H97N14O11S4+と決定し、分子中に3個のチオアミド結合を有することが示唆された。
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