研究課題
全研究期間を通して報告者は、(1)二重アザ電子環状反応による68Ga-DOTAワンポット標識法、および(2)アジド・歪んだアセチレン間のクリック反応とアザ電子環状反応を融合した2つの手法を検討することにより、これまでの懸案を解決する効率的なワンポット68Ga-DOTA標識法の確立を目指した。種々検討の結果、実際のホット標識実験で用いる低濃度条件を鑑みて、最終的に第2のワンポット法を採用した。すなわちまず、アジド基を有するDOTA配位子に対して、ポジトロン放出核種である68Ga3+を配位させた。HPLCにより速やかに精製した後、さらに歪んだアセチレンを有する共役アルデヒドプローブへの結合、さらに続けてペプチドやタンパク質のアミノ基へほぼ定量的に標識することに成功した。本法を64Cu-NOTA、あるいは MRイメージングの標識基であるGd-DOTAや蛍光基にも展開し、ペプチドや抗体、あるいはタンパク質への効率的な標識を実現した。さらに生体内イメージングへの応用として、RGDペプチドに対して効率的に68Ga-DOTA標識を施し、ヌードマウスを用いたがんのPETイメージングに成功した。研究期間の最終年度では、更なる効率性と利便性を追求して、放射線取扱いのための使い捨てチップ上でのワンフロー標識技術も併せて検討した。しかし、アジドと歪んだアセチレン間の歪み解消クリック反応が高温を必要とし、室温では長い反応時間を必要とすることから、エッペンドルフ内での実施が実用的な観点から適当であると判断した。そこで、標識化技術をさらに発展させるために、歪み解消クリック反応の代わりにDiels-Alder反応を用いることで、プローブ調製時間の軽減と他放射核種への汎用性を向上させた。68Ga-DOTA標識基に関わらず、イメージングや治療にも適応できる様々な標識基を導入できる一般的技術として確立した。
すべて 2016 2015
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