研究課題/領域番号 |
25560418
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
及川 雅人 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (70273571)
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研究分担者 |
酒井 隆一 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (20265721)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 化学プローブ / イオンチャネル型グルタミン酸受容体 / 人工リガンド / クリックケミストリー |
研究概要 |
本研究ではイオンチャネル型グルタミン酸受容体 (iGluR) に特異的に作用し、そのゲーティングメカニズムの解明に役立てることを目的としたプローブの合成化学的開発に取り組んでいる。本年度は、プローブ化した海洋天然物ダイシハーベインの合成研究に取り組んだ。ダイシハーベインとGluK1の複合体構造から、C6位へのアルキニル基導入が適切であると考えた。その合成を、マロン酸を出発原料とし酸素官能基を導入する戦略により取り組んだところ、マロン酸部の脱炭酸に起因する分解が、合成中間体の化学的安定性に悪影響を及ぼすことが判明した。そこでふたつめの合成戦略にもとづきD-riboseを出発原料とする合成の検討を進めた。フラノース環上で二度のアルドール反応を行ってふたつの四級炭素の構築に成功し、ピラン環の構築に進んだ。ピラン環の構築にはビニルシランを活用することとし、モデル実験を経て、ダイシハーベインの二環性骨格の完成に取り組んでいる。 また、合成化合物の活性評価のため、研究分担者の酒井はマウスおよびその自動行動トラッキングシステムの準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケミカルプローブ開発のための合成研究において、想定していた一つ目の合成戦略において予期しない脱炭酸が起こり、合成戦略の変更を余儀なくされた。二つ目の戦略は脱炭酸を引き起こすことなく、目的化合物の左半分に相当するフラノース環を与えることが判明し、目的に向け進んでいる。 全体としては、合成研究に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りの方針で研究は進めるが、ケミカルプローブの設計の妥当性を判断するため、合成中間体を用いたマウス活性評価や、ケミカルプローブ化も行う。これは構造活性相関の解析だけでなく、本研究の着想の妥当性を評価するために有用であると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、合成研究を進める中で、ケミカルプローブ合成のための経路の最終的な確立に至った場合に、試薬の大量購入を行う予定であったが、この予定がずれ込み、購入を行うことができなかった。 次年度の早い時期に合成経路の確定が行える見通しであり、それを受け、大量合成のための試薬の購入を行う計画である。
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