研究概要 |
赤外レーザによる熱ショックプロモーター活性化を利用した遺伝子発現誘導技術(IR-LEGO)と、光による神経活動操作技術(optogenetics)とを組み合わせて、個体内での単一標的神経細胞の活動を自在に操作する方法を確立し、これを用いて特定の神経回路を構成する神経細胞の活動を一つずつ個別に操作することで、回路の動作原理を解明することが本研究の目的である。線虫C. elegans摂食運動制御に関わる咽頭神経回路を構成する14種20個の神経細胞中で機能が同定されている細胞は3種にすぎない。上記の新規方法論を導入して、様々な生理条件下でのこの回路における情報処理の全容を解明する。 IR-LEGOにオプティカルチョッパーを取り付けて、風車状回転ブレードによってレーザ光を不連続に通過させることにより照射をパルス化し、標的での熱ショック誘導の空間的分解能を改善した。 また、咽頭神経細胞同定のために、細胞マーカー発現系統を作製しric-19 (M2), flp-21, gcy-10,ser-7b, mnm-2, glr-2, zag-1 が使用可能なことを確認した。さらにこれらのプロモーター下でArch:GFP発現系統を作製し現在咽頭運動に与える影響を解析中である。 全神経の活動が抑制されたとき、ポンピングが停止することを確認した。 さらに、興味深いことに体壁筋の鎮静下で咽頭運動が停止するという現象を見出した。 咽頭運動の定量的解析を可能とするために、顕微鏡下でポンピングのビデオ記録を行い、ポンピング回数を計数する系を立ち上げた。
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