研究課題/領域番号 |
25560428
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
於保 祐子 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 客員研究員 (60381571)
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研究分担者 |
横田 秀夫 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, チームリーダー (00261206)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝子発現 / 脳地図 / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
独自に開発したTranscriptome Tomography(TT法:対象に発現する全ての遺伝子の分布を、解剖学的仮想3次元ex vivo 空間で測定する方法)を高精度化し、発達期マウス脳で経時的な発現情報を詳細に測定・データベース化し、脳が恒常性を維持しながら形態を変え・機能を獲得する仕組みを、遺伝子共発現解析などのインフォマティクス手法と脳形態・組織情報を融合して解析するアトラス インフォマティクスという新手法で捉える目的で、1年目の研究を行った。 1.発達期のマウス脳(生後3日、7日)で、画像解像度50ミクロン、遺伝子発現解像度は各500、1000ミクロンの発現地図を作成するため、マイクロアレーを用いて、発現測定を行った。(1)想定通り、500ミクロンの解像度で検体採取ができ、従来法では不可能な小検体を用いて俯瞰的で詳細な網羅解析が可能となった。(2)研究予算額のため2点での測定となった。生後3日脳での発現マップを500ミクロン解像度で詳細に作成し、7日脳については成体と同じ1,000ミクロンとして、他研究費での、生後35日、56日脳測定結果と合わせて、計4点で経時的に比較する事とした。(3)TT法で得られる脳内部の解剖学的形状も位置合わせ情報として用いる方法を、確立した。当初予定より高度な最新画像処理プログラム(非線形変換を画像全体に対して行い、二つの画像情報の差を最小にする)を用いて実行する事が出来た。(4)既知遺伝子について空間解像度・推定精度を検証した。 2.発現データベースの相互利用を可能にするシステム作成のため、遺伝子発現画像とMRI画像との位置合わせ法を最新の非線形変換を用いて検討した。 3.共発現ネットワーク解析によって発現類似性を相関係数を指標に表示し、形態情報と合わせて解析するアトラス インフォマティクス手法をまとめ、論文投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、遺伝子発現測定を終了した。解剖画像を含めた共発現ネットワーク解析法を確立して、論文の形にまとめて投稿した。発現地図作成について、当初予定より高度の方法論を導入できた。これら2点は当初の予定以上に進展している。高度の発現地図作成方法論導入後の評価に時間を要したので、発現地図作成がやや遅れているが、より精度の高い発現地図が得られるメドが立ち、全体として概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の発現地図作成を速やかに完成する。遺伝子発現を基準にした脳領域図譜、3 次元共発現ネットワーク図の2つを、4時点(新規2+既得2)について作成し、WHS 標準脳空間にアップロードする。この空間にある全ての情報を活用するアトラス インフォマティクの手法を使って、発達期の遺伝子発現の恒常性と変容を、解剖学的分布とネットワーク構造の両面から解析する。結果について、論文化し、その後発現図譜作成・解析法も含めて発現地図を公開して、双方向性を持ったWEB 上の標準脳空間の枠組みを広く提示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
測定点をもう1点追加するには、総予算額は75万円程度不足で、新規測定が2点になった。マウス購入も2測定点分となった。また遺伝子発現測定の全処理について、研究所内のリソースを活用できた。 残額はH26年度分と合わせて、発現測定の再検など、解析に必要なデータの作成に用いる。
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