研究課題
挑戦的萌芽研究
運動制御・運動学習における小脳の役割とそのメカニズムの基盤をなす、大脳-小脳の機能的結合を明らかにするために、光活性化チャネル(ChR2やNpHR)を用いた大脳皮質および小脳皮質の機能的光マッピングを行う。運動制御や運動学習に関係する大脳皮質連合野、運動野、感覚野と小脳皮質との間の機能的結合を、ChR2やNpHRを発現しているマウスにおいて光マッピングにより調べ、大脳-小脳間における機能的結合を網羅的に双方向的に明らかにすることで、運動制御・運動学習における大脳-小脳連関の全貌を明らかにすることを目指す。今年度は、まず、大脳から小脳への結合のマッピングを行った。大脳皮質の出力ニューロンである、第5層錐体細胞にChR2を発現する、Thy1-ChR2マウスを使用し、光刺激として青色レーザー(473 nm)をガルバノミラーを用いて走査する(Hira et al., 2009)ことにより、マッピングを行った。小脳傍虫部第6~9小葉および小脳半球第1脚、第2脚、正中傍小葉、錐体結合節において、小脳プルキンエ細胞から活動電位を記録しつつ、第一次運動野および高次運動野、感覚野を含む広範囲にわたり光刺激することで、プルキンエ細胞で起こる単純スパイクおよび複雑スパイクを記録した。これにより、苔状線維および登上線維を経由して大脳のどの部位から入力を受けているのかのマップを作成した。現在は、さらにデータを増やすとともに、得られたマップから大脳と小脳の結合についてのモデルを検討している。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した本年度の研究実施計画について、その目標をほぼ達成しており順調に進行している。
引き続き、大脳から小脳への結合について詳細かつ網羅的なマップを作成するとともに、小脳から大脳への結合についてもマッピングを行う。これらにより、本研究の目的である、大脳-小脳ループの全貌を明らかにする。
平成26年度に使用する予定であった、小脳特異的にチャネルロドプシンを発現するマウスについて、平成25年度中にクリーニングを行って、準備を進めていた。得られたマウスについて遺伝子型を確認したところ、変異が導入されたマウスが得られなかったため、再度、人工授精と胚移植を依頼して行ったが、平成25年度内にはマウスを得ることができなかったため。目的のマウスが得られた時点で、そのクリーニング費用として使用する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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