研究課題/領域番号 |
25570002
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
増田 美砂 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70192747)
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研究分担者 |
谷 祐可子 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40326707)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 落葉季節林帯 / Tectona grandis / インドネシア / ジャワ / ミャンマー / 非木材林産物 |
研究概要 |
ジャワ島の落葉季節林帯の事例としてまずティーク人工林に焦点を当て,異なる令級構成の認められる営林署として東ジャワ州のボジョネゴロを調査地として選定した.一般にジャワ島のティーク成熟林は1997/98年の政治的混乱の中,違法伐採による壊滅的な被害を受けたが,ブブラン郡には破壊を免れたティーク成熟林が残っていたため,そのうちの1村を調査地とし,サンプリングによる世帯調査を実施した. 暫定結果からは,20年前には一般的に商業的利用として認められた①薪材,②葉(食品包装),③飼料,および④薬草のうち,①は自給用に留まり,②と④の採集を行っているのは,現在3戸だけ残っているかつての森林村住民に限られていた.③も家畜飼育自体が廃れており,飼料の依存度は低下していた.①については,かつて伐採跡地の切り株が根こそぎ掘り起こされ,利用されていたのに対し,切り株も放置されていた.一方,新たな商業利用として製炭が普及しており,一部の住民が国有林内の雑木を伐採し,伏せ焼きで製炭を行っていた.ティークは製炭原料に向かないとされるため,林業公社も黙認しているが,乾季に頻発する森林火災の一因となっていると考えられた. 林業公社が住民対策として導入した共同森林管理(PHBM)については,すでに形骸化に向かっており,原因のひとつとして,PHBMの組織化や活動を補助する役割を担っている担当区(RPH)と村や区が相互に一致しないために,複雑な運用手続きを伴うPHBMの運用に支障を来したことが考えられる.農村部若年層の流出や都市経済への依存度の高まりは,森林とのかかわりにも大きい変化をもたらしており,貧困層のセイフティーネットとして森林を位置づけるアプローチの見直しが必要とされていることを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算の示達額により,当初の計画から地域を縮小せざるをえなかったが,その範囲での調査活動は予定通り実施した.しかし調査票の集計に遅れが出ている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,ジャワ島の落葉季節林帯における過去の調査結果と対比させることによって,people-forest nexusの変化を明らかにすることを目的としている.しかし20年前の調査時にはどの調査地を選んでも比較的類似した資源構成であったのに対し,違法伐採が横行し,さらに共同森林管理により短伐期林業へと転換しはじめたのちは,ティークの壮齢林が限られた営林署にしか残っていない.したがって資源構成の類似を比較の基準とすると,調査地は異なる地域とせざるをえない. 2年目の調査地を以前の調査地である中ジャワとするか,過去と資源構成の類似する営林署の残っている東ジャワで引き続き事例を増やすかを早急に決定し,農村調査を実施する予定である. ミャンマーについても,同じ調査票を用いた現地調査を実施することができるかどうかを検討した結果,26年度に森林局を対象とした予備調査と,森林地帯における本調査の2度に分けて現地調査を実施し,予備調査の結果が思わしくなかった場合は,他の候補地に変更することとした.
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次年度の研究費の使用計画 |
調査票ならびに二次資料のデータ入力に遅れが生じたため,残りを次年度に実施することとした. 年度の前半に,次年度使用額を人件費に用い,残されている調査票の入力を終える予定である.
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