マスダール科学技術大学(在アブダビ,アラブ首長国連邦)との共同研究を通じて,大学院生の派遣,共同セミナーの開催等の活動を行った.共同研究の枠組では,以下の局面について解析を進めた:(1)広域な電力網の整備が,国内外の安全保障に与え得る影響の予測とそれを回避あるいは低減するための方法論,(2)途上国で,電力の輸出により国家収入が急増する場合,それが「資源の呪い」を引き起こし,これらの国々での内乱などの形による混乱発生を防ぐ為の方法論,(3)電力貿易の開始により当該地域でのパワー・バランスが崩れ,地域の安全保障が悪化する事を防ぐ為の方法論,(4)固定価格買い取り制度をアラブ首長国連邦に導入する場合の留意点. また,アイスランド大学,アイスランド国立電力会社,マスダール科学技術大学との共同研究として,アイスランドから英国等の欧州諸国への送電計画が包有する様々なリスクを数量的に示し,それを軽減あるいは回避する方法を提案した. 具体的には,電力事業のプロジェクト評価に係る既往研究の多くは,将来のキヤッシュフローを確定的に見積もっているが,本研究では、リアルオプションの考え方を導入することにより,事業の遂行に伴う不確実性を評価の枠組みに陽に取り入れた.また,電力事業においては発電プロジェクトに適用されることが多いリアルオプションを電力交易に導入して対処法(へッジ)としての適用可能性を検討した. 南アジアで計画されている,キルギスタンおよびタジキスタンからアフガニスタンおよびパキスタンへの送電計画について,タジキスタンでの内政および外政の観点から分析すると共に,計画に対して強硬に反対しているウズベキスタンを同意に向かわせるための政策を案出した.
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