研究課題/領域番号 |
25570011
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
吉田 直美 日本福祉大学, 経済学部, 准教授 (00317760)
|
研究分担者 |
生江 明 日本福祉大学, 子ども発達学部, 教授 (70298561)
大場 和久 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (90257882)
磯部 作 日本福祉大学, 子ども発達学部, 教授 (90288499)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 避難訓練 / 地域防災計画 / 防災 / 減災 |
研究概要 |
1.当該地区の自主防災組織や区長らとの懇談を重ね、当該地区の防災・減災に向けた対策や住民意識についての実態を把握していった。その結果、公共施設の備蓄品が偏在していること、東日本大震災以降、津波被害の想定を改められ、避難所の場所が変更になったにも関わらず、まだ地域住民に広く認識されていないことや、新しい避難場所までの避難経路についても、再検討が必要な状況であることが判明した。 2.小学生によるハザードマップ作成とワークショップ実施に向けての準備として、わかりやすい教材づくりを検討し、大学生の協力を得て当該地区の図形模型を作成した。 3.平成25年11月17日に実施された愛知県・美浜町津波・地震防災訓練に参加し、避難誘導の方法、地域住民の避難の様子を参与調査を行った。この防災訓練は、大型の起震車での地震体験、炊き出し、消火作業の実演、自衛隊のヘリコプターの避難所に着陸等がなされた大規模な防災訓練であった。しかし、防災無線の放送は聴きづらく、地域住民は移動においても避難所の名簿作成においても、手持ち無沙汰な様子のまま、いまひとつ緊張感なく、住民を3時間以上拘束しての訓練において、仮設トイレの設置等がプロブラムに入ってない等、実践的でない訓練内容であったことが判明した。(後日美浜町HPで公開された住民アンケートの自由記述も参考にし、現行の防災訓練の問題点について検討中) 4.東日本大震災の被災地に行き、宮城県の名取市、石巻市の現状を視察するとともに、被災者へのヒアリングを通して、当時の防災無線の放送や避難勧告や避難誘導、地域住民の避難の様子等の調査を行った。また、日本福祉大学研究紀要「現代と文化」に「愛知県美浜町西岸と自然災害 -南海トラフ巨大地震最終報告書より読む減災の可能性-」を研究分担者が投稿し、掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度において、小学生によるハザードマップの作成の予備的試行をする予定であった。しかしながら、①当該年度の秋において、愛知県主催で美浜町にて大規模な防災避難訓練が実施されることが判明した。そのため、ハザードマップの作成以前に、この避難訓練に学生とともに参加し、町の現時点での防災体制を把握することを優先事項としたこと、②小学生主体のハザードマップ作成において、地域の自主防災組織や小学校との話し合いにより、地域ぐるみの防災訓練の中に取り入れたいという要望が出て、実施時期を平成26年度にするという変更があった。これら2つの理由にて、ハザードマップ作成と防災・減災対策の学びの集まりを平成26年度に繰り越して実施することになった。
|
今後の研究の推進方策 |
1.地域自主防災組織をはじめとする地域住民の協力を得て、地域の小学生を対象としたハザードマップ作成のための準備を上半期にすすめる。 2.10月には、小学生を対象としたハザードマップ作成を実施し、そこからの知見を素材として、地域の大人たちとのワークショップをもち、防災・減災のための避難経路の確保や安全なまちづくりのための提言をしてもらう。 3.シンポジウムを開催し、従来型の防災ネットワーク(県庁→市町村自治体→自主防災組織→隣保班)という「垂直方向のネットワーク」ではなく、「水平報告のネットワーク」形成の可能性を検討する。小学生によるハザードマップとワークショップから得られた見解を分析し、現実の地域社会が直面する災害時の課題解決のあり方について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に実施予定であった、小学生によるハザードマップ作成とワークショップの実施が、平成26年度に繰り越されたことにより、その準備のための人件費・謝金(学生アルバイト代)、会議費、資料の印刷費等一部が執行できなかったためである。 平成25年度に実施予定であった、小学生によるハザードマップ作成とワークショップを、予備調査を含めて実施し、その結果を踏まえての地域の大人の会合にて、災害弱者への救援に向けて地域内連携を検討する。その後、シンポジウムを開催し、「従来型のネットワーク」ではなく、「水平方向のネットワーク」の妥当性を検討し、現実の地域社会が直面する災害時の課題解決への糸口を見出す。
|