研究課題/領域番号 |
25570014
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
宮嵜 英寿 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (30455232)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会的弱者層 / 生存戦略 / 貧困削減 / 半乾燥熱帯 / 南アジア |
研究概要 |
本研究の目的は、南アジアの社会的弱者層の生存戦略を明らかにすることで貧困削減の糸口を見つけることである。 本年度はインド北西部ラージャスターン州アラバリ山脈周辺域において広域調査をおこない、調査対象村Mを選定した。M村の社会構造と生業の地域性を明らかにするために集落の構造、居住形態や家屋の構造を記録するとともに、慣行農法・家畜飼養・灌漑水利用・副業・季節的出稼ぎについて聞き取り調査をおこなった。 聞き取り調査の結果、1).肥沃度管理において家畜糞尿の施用が重要であること、2).牧畜カーストを除くカーストおよび民族集団の家畜所有はそれほど多くないこと、3).農業の機械化が進むにもかかわらず、畜力牽引犂・畜力牽引井戸を用いた農耕をおこなっていること、4).多くの世帯で近郊の中小都市への農閑期の出稼ぎをおこなっていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査村における社会構造と生業の地域性が明らかになりつつあり、おおむね当初の計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
1.自然資源利用の地域性を理解するために下記、(1).土地利用図作成:作季(カリーフ作とラビ作)ごとに、GPSを用いて作物栽培区域を計測する。また、家畜の放牧域や水利用域も計測することでその地域の土地利用を明らかにする。(2).栽培作物の多様性評価:単一栽培は気象変動や病虫害の発生に脆弱である。よって、現地の農民は栽培作物の多様化を図り危険分散をおこなっている。そこで、先述の土地利用図から各栽培作物の栽 培面積を算出し作物多様性を面的に評価する。(3).その他の資源利用:土地所有、灌漑用水の利用、家畜飼養の方法、有用植物利用について聞き取る。(4).気候変動への対処:過去に生じた気候変動の年にどのような資源利用(対処行動)をとったかを聞きとる。の項目について比較する。そうすることで異なる農業生態環境下での生存戦略を解明する。 2.在来農耕技術の調査として、(1).在来農耕技術:農耕技術体系や在来技術群から環境への負荷を軽減できる技術を発掘し、(2).伝統的農具インベントリー作成:対象地域は近代化が進み機械化が導入されつつある、そこで伝統的農具を収集、記載する。また、その利用方法について聞き取る。また、鍛冶屋、大工に依頼し民具を制作してもらいその制作過程を記録として残すことで在来の技術の保存をおこなう。 3.農業生産性評価の栽培試験:調査地域の作物生産性を見積もるために、主食であるトウモロコシを栽培試験区にて栽培する。栽培には在来品種を用い、いくつかの栽植密度を設定することで生産量の違いを評価する。栽培試験の結果については現地の農民に感想を聞くことで生産量以外(稈の利用)の資源利用についても評価したい。その他の作物については、作目ごとに栽培世帯において坪刈りをおこない生産性を算出する。
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