パブリックアートに関する議論を「野外彫刻」論という従来の狭い枠組みから解放し、「公共性」を軸としてパブリックアートを位置づけ直す試みのうち、本研究は、伝統的モニュメントに対する異議申し立てとしての「対抗的モニュメント」に焦点を合わせて検討を加えることを目的とするものである。26年度の実施計画として挙げたのは以下の2点である。
1 対抗的モニュメントのリストアップと関連する資料および研究文献の収集・検討 2 代表的事例に関して現地調査を行い、当該モニュメントの歴史的・社会的・倫理的な意義と射程を明らかにする
1については、文献探索及び検討を続けているが、「対抗的」の意味についてさらに分節する必要性が明らかとなった。2については、ドイツで調査を行い、先行研究で言及されているもの以外に対象となりうる事例を探索・検討した。研究成果の一部として対抗的モニュメントの紹介・検討を組み込んだ刊行物『パブリックアートの現在』を執筆した。平成26年度中に出版予定であったが諸般の事情で刊行が遅れている。
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