研究課題/領域番号 |
25580005
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
青木 滋之 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (50569069)
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研究分担者 |
蓮見 二郎 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40532437)
山形 伸二 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (60625193)
伊勢田 哲治 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80324367)
井上 奈良彦 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (90184762)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トゥールミンモデル / 非形式論理 / 批判的思考 / 論理的思考 / 心理学測定 / 学際研究 |
研究実績の概要 |
今年度は、(1)トゥールミンモデルについての先行研究の調査と並行して、(2)伝統的なトゥールミンモデルに代わる議論モデルの改良、研究代表者の勤務校授業(「論理学」)での試行、授業プレ/ポストの批判的・論理的思考力の心理学的測定、(3)研究成果に基づく学会発表ないし研究会発表、という作業を行った。 (1)については、研究会のメンバーでArguing on Toulmin Model(2010)という、トゥールミンモデルについての包括的な研究書を分担担当して研究し、伝統的トゥールミンモデルの利点や欠点と思われる点についての把握に努めた。その結果、オリジナルなトゥールミンモデルに代わる改良を加えていくことについて、学術的ないし実践的な必要性ないし意義があることを再確認するに至った。 (2)については、伝統的トゥールミンモデルに基づく非形式論理学の教科書であるIntroduction to Reasoning(1984)に依拠した授業を行い、伝統的モデルによって学生の批判的・論理的思考力が、授業前/後でどの点においてどれくらい伸びるのかを解析するための、基礎データを集めているところである。これは、研究計画に沿った実施である。 (3)については、国際学会での口頭発表1本、研究会での招待発表2本の、合計3本の発表を行い成果の公表を行いつつ、質疑応答における反応を手掛かりに次年度への研究を続けていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書での2年次計画にほぼ沿った形での研究が遂行できており、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
3年次の研究において必要となってくるのは、以下の3点であると考えている。 (1)伝統的トゥールミンモデルに代わる新しい議論モデルの構築・教育効果の測定。トゥールミンモデルの研究書や、他の非形式論理における議論モデルを手掛かりとしながら、研究申請書においても言及したC-Rモデル(主張-根拠モデル)と、それを入れ子状に展開した対話的議論モデルが有望だと考えており、このモデルの表現力や汎用性などを、実際の生の議論を使いながら検討していく予定である。また、このC-Rモデルが果たして教育効果上において有効なモデルであるのかどうかを、授業前/後の心理学測定により実証的に明らかにしていきたい。 (2)これまで2年間で5回の打ち合わせ研究会を行ってきた。哲学系の研究者のみならず、政治学、教育心理学、コミュニケーション学、産学連携といった様々な立場からのトゥールミンモデルの検討を行ってきたが、そこでの議論や成果を形あるもの(レポートのようなもの)にまとめていく必要がある。 (3)トゥールミンモデルについての理論的・実践的研究をふまえ、伝統的モデルと新しいモデルとの比較検討についての考察を、3年次には論文としてまとめ、関連学会の専門誌へと投稿することが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の打ち合わせ研究会での旅費に若干回すため。
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次年度使用額の使用計画 |
3年次での打ち合わせ研究会の旅費に充てる予定である。3年次の平成27年度の助成金は、打ち合わせ研究会の旅費、データ入力補助のための謝金、書籍費などに充てる予定である。
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