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2013 年度 実施状況報告書

「哲学実践」という分野の確立に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 25580006
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関立教大学

研究代表者

河野 哲也  立教大学, 文学部, 教授 (60384715)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード哲学実践 / こども哲学 / 哲学カフェ / 対話型教育 / 哲学カウンセリング
研究概要

本研究は、日本に「哲学実践」を体系的に導入し、ひとつの実践的な学問分野として確立するための準備作業を行うことを目的とする。とくに、子ども哲学の発展と、哲学カウンセリング・組織アドヴァイスの紹介に焦点を当てる。
平成25年度は、計画通りに、(1)海外研究者の招聘と本分野の紹介、(2)国内における哲学対話の実践、(3)海外での実践への参画を行った。
(1)に関しては、哲学カウンセリングの第一人者であるピーター・ハーテロー氏(エラスムス哲学実践研究所所長)による3回の哲学カウンセリングと哲学ウォークのワークショップ(5月9,12,18日)、ケネス・ロウ氏(ラッフルズ・インスティチューション)とクリスティー・チェン氏による子ども哲学のワークショップ(5月12日)、ルー・マリノフ氏(ニューヨーク市立大学)による企業カウンセリングの講演会(5月24日)を行った。また、寺田俊郎が企画するワルター・コーハン氏(リオ=デ=ジャネイロ大学)のワークショップに参画した。
(2)に関して、子ども哲学としては、関東学院小学校、関東学院六浦小学校、開智学園中等部におけるカリキュラムに組み込まれた哲学対話の授業、寄居(埼玉県)での子ども哲学カフェの定期的実施、豊島岡女子学園での定期的哲学カフェ、湘南学園での連続模擬授業、都立城東高校、八王子市立浅川中学校、鳥取県立倉吉高校、学芸大学付属小金井中学校での模擬授業、毎日新聞社と連携した子ども哲学カフェを実践した。企業内のカウンセリングとしては、立教大学の宮下篤志教授との連携による企業内哲学対話を行った。代官山まちづくりプロジェクトの一環として、まちづくりカフェを行った。
(3)に関しては、望月太郎氏(大阪大学)と連携し、チュラロンコン大学でのワークショップに参加すると共に、パナサストラ大学(カンボジア)における修士課程設立プロジェクトに参加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

(1)海外研究者の招聘と本分野の紹介に関しては、現在、活躍中の海外の研究者、実践者5名を呼ぶことができた。(2)国内における哲学対話の実践に関しては、反響が大きく、カリキュラム内への導入、模擬授業、ファシリテーション養成について予想以上の要請が持ち込まれている。(3)海外での実践に関しては、哲学対話を中心にしたパナサストラ大学(カンボジア)における修士課程設立は順調に進んでおり、申請者の協力もこれに貢献できたものと思われる。

今後の研究の推進方策

平成26年度以降も、チームを組んで、子ども哲学を小中学や図書館などで実践し、同時に、被災地での哲学カフェ、企業内での哲学カウンセリング、成人と子どもを対話させる哲学カフェも実施していく。平行して、ファイシリテイターやアシスタントを養成する研究会やワークショップも開催する。
平成26年度は、申請者は、「哲学実践国際会議」(ICPP)における共同発表、及び、「パナストラ大学平和構築会議」に出席し、フランスの実践家であるオスカー・ブルニフィエ氏の訪問、ハワイ大学のトマス・ジャクソン教授を訪問し実践を見学する。26年度は、この分野に関する理論的・実践的な著作や翻訳書、論文の作成に重点を置く予定である。
平成27年度は、再び「国際子ども哲学会」(ICPIC)に参加して、発表やラウンドテーブルを企画する。哲学カウンセリングと組織アドヴァイスの専門家、ヤング・リー氏、オスカー・ブルニフィエ氏、ピーター・ハーテロー氏のいずれかを招聘し、実践的なワークショップを行ってもらい、今後の実現の可能性について探ることにする。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の旅費、人件費など予定どおりに使用し、書籍などをさらに購入する予定であったが、当該購入予定の書籍が、1,754円以上であったため、25年度に無理に購入せず、翌年度に回して使用することにした。
今年度は、国際哲学実践学会がセルビアで行われ、研究協力者3名と3回の共同発表を行う予定である。そのための旅費交通費が今年度予算の多くを占める。それ以外には、研究協力者のための謝金、哲学対話補助のためのアルバイトの人件費、書籍など購入に充てる予定である。為替などの影響で旅費交通費が予想以上にかさむ可能性もあるため、今年度請求額(90万円)を超えて、次年度分を前倒しして使用する可能性も考えられる。少額の前年度繰り越しに関しては、以上の計画のなかの書籍購入費用として使用される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 対話による人間の回復:当事者研究と哲学対話2014

    • 著者名/発表者名
      河野哲也
    • 雑誌名

      『立教社会福祉研究』(立教社会福祉研究所発行)

      巻: 33 ページ: 3-12

  • [雑誌論文] 判断力とコミュニケーション力を育てるこども哲学2014

    • 著者名/発表者名
      河野哲也
    • 雑誌名

      日本教育

      巻: 430 ページ: 16-18

  • [学会発表] Philosophy for children as ciritical thinking2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kono
    • 学会等名
      Roundtable on Critical Thinking and Philosophical Practice
    • 発表場所
      Chulalongkorn University
    • 年月日
      20131219-20131220
  • [学会発表] Moral education in Japanese primary and secondary schools and the Challenge of P4C

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kono
    • 学会等名
      The International Council of Philosophical Inquiry with Children
    • 発表場所
      University of Cape Town, South Africa
  • [学会発表] 科学教育における対話性

    • 著者名/発表者名
      河野哲也
    • 学会等名
      日本科学教育学会
    • 発表場所
      三重大学
  • [備考] 河野哲也の哲学・倫理学研究室

    • URL

      http://www2.rikkyo.ac.jp/web/tetsuyakono/

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公開日: 2015-05-28  

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