研究課題/領域番号 |
25580017
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 淳二 北海道大学, 文学研究科, 教授 (30282544)
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研究分担者 |
小坂 圭太 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (20376966)
藤井 俊之 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (30636791) [辞退]
野々下 由香里 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (40345351)
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70243136)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音楽 / 思想史 / 主体 / 哲学 |
研究実績の概要 |
わたしたちの研究「音楽経験の思想史への挑戦ーー身体知と主体化からのアプローチ」では、音楽学と西洋思想史の専門家と高度な演奏技術を有する優れた音楽家との共同作業で、「音楽思想史」という新しい知の分野への展望を開くことを目的としていた。二年間の具体的な研究内容は、研究会での討議により得られた一定の展望を、できるだけ広い聴衆と共有すべき場を設けるというところに特徴があった。その具体的な取り組みとして、まず初年度は19世紀から20世紀初頭のドイツ音楽における思想史的展望を公表することに決定、それを2014年3月17日東京藝術大学音楽学部ホールにおけるレクチャーコンサート(「メロディー/フィロソフィー、ニーチェ、アドルノ、思想と音楽」)という形で実現した。このコンサートでは、佐藤淳二(代表者)・岡田暁生(分担者)の説明とレクチャーの後で、野々下由香里(分担者)・小坂圭太(分担者)によるアドルノ、ニーチェが作曲した楽曲演奏に加えて、バルトーク、デュパルクの楽曲・歌曲を演奏し、その後に聴衆の参加を得て、意見交換の場を設け、広く好評を得た。二年目は、「身体知」の観点を補強し、これを2014年11月26日に、お茶の水女子大学教育学部の音楽教育の企画とジョイントさせて、現代音楽作曲家による自作曲演奏と、岡田暁生によるベンヤミンを題材とした現代音楽文化論講演を実現した。ここでも聴衆と共に有意義な意見交換・討議を実現できた。このように、わたしたちの共同研究は、萌芽研究としては十二分にその役割を果たしたと言える。その成果は、音楽を、身体を通して共有される場としてとらえ、その「場」そのものが歴史的に変遷していくという視点を据えたということである。これを文章化し公刊する作業がこれから引き続き課題として残されている。
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