本研究は、プルードンの社会理論を、プルードンの出身地であるフランス・フランシュ=コンテ地方の農村の慣行との連続性の中で捉えようというものである。実際、プルードンの唱えた所有論や無償信用論などは、実はプルードンが理論を提示する前からフランシュ=コンテ地方の農民の間で慣行として行われてきたものであり、しかもその慣行を通じてフランシュ=コンテ地方は農業を現代経済に適合させてきたのであった。このように、プルードン理論は、過去の理論なのではなく、今日の農民の経済戦略の中に具現化しているのであり、そこにプルードン理論の現代における可能性がみられるのである。
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