研究課題/領域番号 |
25580023
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 美亜 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (20436695)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 音楽 / 芸術 / 社会学 / アートマネジメント |
研究実績の概要 |
平成27年度の成果を、3つのフェイズごとに記す。 (1) 基礎調査・・・基礎調査は26年度にほぼ終えていたが、宮城教育大学小塩研究室が、本研究が実施した基礎調査を補完する内容の研究(「東日本大震災後の音楽活動に関する調査」)を行っていたという情報を入手したため、報告書3冊を取り寄せるとともに、情報交換を行った。これを通じて、本研究基礎調査の妥当性が裏付けられると同時に、現地でしか知り得ない貴重な情報を得ることもできた(例えば、震災直後の自衛隊による音楽活動の重要性、被災地を訪問したアーティストのファンの意識など)。 (2) フィールドワーク・・・仙台と岩手で現地調査を実施し、震災後の音楽・芸術・文化活動に深く関わった様々な立場の人たちに長時間インタビューを行った。調査したのは、震災後いち早く「復興コンサート」を被災地で展開した「音楽の力による復興センター・東北」の事務局へのインタビュー、「復興コンサート」の現地調査と演奏者へのインタビュー、復興コンサートから生まれた合唱グループ〈みやぎの「花は咲く」合唱団〉の練習見学と指導者・主催者・参加者へのインタビュー、仙台の音楽・芸術活動を支えてきた「仙台市市民文化事業団」事務局へのインタビュー、震災後仮設住宅などでユニークな芸術活動を展開したMMix Lab と Art Inclusion の調査とインタビュー、盛岡で復興支援にあたってきた「盛岡復興支援センター(Save Iwate)」事務局での調査とインタビュー。以上を通じて、音楽のもつ役割が震災後、時間の経過とともに変化してきたことが明らかになった。また、どのような意味で音楽やアートが「力」になるか、何が「力」となるために必要かという点についても具体的に理解されるようになった。 (3) 学際的考察・・・認知科学領域における「情動」や「芸術経験」に関する先行研究について調査を開始し、課題の整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究目標は、前年度の研究成果を踏まえ、インデプス・インタビューを伴った現地調査を行うことであった。この点において、単に実施したことにとどまらず、新たな知見を得ることができ、十分な成果が見られた。また、成果の公開も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、これまでの研究を総括すると同時に、認知科学的知見も参考にしながら、震災後の音楽活動の役割や効果について一定の結論を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査を日程的にまとめて行うことができたため、旅費の支出が予定よりも少なくなった。また国際学会の会場が日本であったため、旅費の支出が予定よりも少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究に必要な機材費、旅費、人件費を中心に支出する計画である。
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備考 |
Mia's Lab > 震災と音楽 (http://www.ad.design.kyushu-u.ac.jp/~mia/震災と音楽.html)
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