東日本大震災後、「音楽の力」という言葉が頻繁に登場し、死者への追悼や復興など様々な場面で音楽が用いられた。本研究は、震災復興において、音楽が果たす機能や人や社会にもたらす効果を明らかにすることを目的としている。研究は、(1)「音楽の力」という言葉の使用に関する調査、(2)震災後の音楽活動に関する概要把握、(3)被災地での事例調査、(4)認知科学やトラウマ研究の応用、(5)文化政策的知見の抽出という5つのフェイズから成っている。社会学的なアプローチをベースにしつつも、認知科学や精神医学的知見を取り入れることで、音楽の「力」が発動するプロセスやメカニズムに関する理論的説明を行った。
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