本研究では,明治期に大きな役割を果たした数字譜の教育的可能性を再評価することを目的に,史資料の収集と解析,実践事例の分析,協力者による学習と指導の試みを行った。その結果,(1)数字譜が廃止された理由は楽譜としての不完全性にあり,児童にとっての意義は顧みられなかったこと,(2)ジャック=ダルクローズ・ソルフェージュでは,数字唱によって機能和声の理解が促されていること,(3)数字譜を作成することや数字唱することが,楽曲構造や調性の理解に役立つことなどが明らかとなり,数字譜や数字唱が現在の音楽教育においても有効であると結論づけた。
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