イタリアのサルデーニャ島中部地域において、男性4人による無伴奏の多声部合唱(ア・テノーレもしくはア・クンコルドゥ)について、集中的な現地調査をおこなった。その結果、この合唱の特徴として、(1) 4人の声の並行、衝突、離反によって、ダイナミックなポリフォニーが生みだされること、(2) 歌い手たちのそれぞれ特徴的な4種類の声が、物理的に接近して輪になった身体のあいだで強く響きあうこと、(3) 彼らにとって、声を響きあわせることは根源的な身体的快楽をもたらすことなどが明らかとなった。これらの研究成果については、今年度中に出版予定の音響身体論に関する単行本の中の1章として、現在執筆を進めている。
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