研究課題/領域番号 |
25580038
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
仲 裕次郎 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (00466997)
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研究分担者 |
籔内 直樹(籔内佐斗司) 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10376931)
並木 秀俊 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 講師 (00535461)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 古典彫刻彩色 |
研究実績の概要 |
本研究の二年次となる平成26年度は、初年度に行った古典彫刻を主とする彩色が残存する立体文化財の調査研究から得られた知見を基にして準備された色料と接着剤また推定した技法(材料の使用法と彩色工程)を用いて、実際に彩色の工程を試験し、また当初彩色の完全復元を行った。彩色復元は、紙本による平面図と木彫立体について行う。初年度に用意した稀少な諸材料を使用して、考察した古典彩色技法を実際に行い研究成果を具現化することにより、本研究の確度と水準を上げていった。制作された試験作品は、本研究にとっての重要な資料となる。加えて、25年度に用意した科学調査用資料を用いて「彩色を前提とした立体彩色における適切な漆下地の科学調査」を実施する。並行して、彩色が残存する立体の古典文化財の調査を継続的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、日本の立体彩色を研究する上で最も見るべき時代は、奈良期から平安初期であり、正倉院宝物において顕著である天平期と考える。本研究の二年間において、継続的に行った研究対象はやはりこの時代を主とするものとなった。古代の色料やその使用法また配色原理などはいまだ未解明な点も多く、本研究はこの課題に資するものとなっている。日本での本格的な彩色が始まる古代における研究を深めることで、比する形でそれよりの後世また現代との差異を明らかにする資料となり得ている。本研究では、諸研究に裏付けられた確度の高い復元彩色を研究方法として取り入れているが、研究成果を実際に具現化するこの学際的な試験作品そのものが研究法として斬新であり、本研究が二年次に達成した段階を示している。また、立体最表面の仕上げの仕様と彩色についての関係へも課題を広げて工学的調査を行ったことは研究の最終年に向けて非常に有意義であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年となる27年度は、研究成果として複数の彩色立体について、推定完全復元を行い試験作品を完成させる。古代彫刻の一部を具体的に復元し、立体造形における優れた古典彩色の実際を検証していく。復元する古典彫刻には古代を対象として、木地・漆地と塑像(塑土地)を行う。並行して、現存する古典彫刻の彩色についての調査を継続して行なう。また本年度は、検証された古典彩色の実際を基に、他者(学生を予定)へ示し活用してもらい、 現代への蘇生への方法を考察していく。
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