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2014 年度 実施状況報告書

震災タイムカプセルの研究:その起源、制作過程および影響について

研究課題

研究課題/領域番号 25580039
研究機関東京藝術大学

研究代表者

坂口 英伸  東京藝術大学, 美術学部, 講師 (00646440)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードタイムカプセル
研究実績の概要

2014(平成26)年度の調査では、提出した研究実施計画にのっとり、海外での調査を行った。渡航先は米国のニューヨーク市とワシントンD.C.である。渡航の目的は、現地調査と資料収集である。現地調査として、1938(昭和13)年にタイムカプセルが埋設された地点(ニューヨーク市、フラッシング・メドウズ・コロナ・パーク)に趣き、写真撮影を行った。加えて、資料調査としてニューヨーク市立図書館で関係資料を閲覧した。また、ワシントンD.C.では、資料調査を中心に行った。国立公文書記録管理局(NARA)およびアメリカ議会図書館(Library of Congress)にて、関係資料を調査した。資料調査を通じて、日本と米国とのタイムカプセルの間に存在する影響関係を分析した。

海外調査の一方で、国内での調査も昨年に引き続いて行った。高野山金剛峰寺の協力の下、関東震災霊牌堂で保管されている『大正十二年関東震災殃死者名簿』(タイル)を調査した。本年度の調査では、研究補助員として2名の研究者の協力を仰いだ。タイル考古学を専門とする深井明比古氏(兵庫県立考古博物館学芸員)と、英米文学を専門とする中川智視氏(明治大学兼任講師)である。2人の研究補助員の協力を得て、高野山奥之院の関東震災霊牌堂に安置されたタイルの状態を記録した上で、タイルを金剛峯寺に運搬した。そしてその一部を洗浄し、タイル枚数を数えて記録した。洗浄したタイルは、破損を避けるためにビニールで梱包し、コンテナに詰めて金剛峯寺にて保管中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全般的にみれば、調査はおおむね順調に進展していると判断してよい。海外の調査で英語文献を閲覧したことにより、調査が進んだ。そもそもタイムカプセルは、米国で誕生したものであり、英語文献の調査は必要不可欠である。その一方で、国内での調査は、当初の予定よりもやや遅れている。その原因はタイルの洗浄に手間と時間を要したからである。タイルの汚染がひどく、タイルを1枚洗うのに予想以上の時間がかかった。しかし、2人の研究補助員による献身的な協力を得たことで、調査の遅れを最小限に食い止めることができたと考えている。

今後の研究の推進方策

今後の調査の予定としては、高野山所蔵のタイルのほかに、震災を機会に生まれたタイムカプセルの調査が望まれる。神社の鳥居に奉納されたタイムカプセル(兵庫県/大阪府)、明治東京地震の後に作られた「タイムカプセル」(東京都)、火山の噴火を教訓に制作されたタイムカプセル(北海道)などである。調査の範囲を従来より広げる必要性があると考える。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の調査器具が急遽買う必要がなくなったため、差額が生じた。

次年度使用額の使用計画

生じた差額分を有効に研究へ使用したい。研究費の使用に関して社会的に関心が高まっている現状を鑑みて、適切な研究費の運用を心掛けたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『大正十二年関東震災殃死者名簿』について2015

    • 著者名/発表者名
      坂口英伸
    • 雑誌名

      タイルの本

      巻: 85 ページ: 4-9

  • [雑誌論文] 東京美術学校と関東大震災2014

    • 著者名/発表者名
      坂口英伸
    • 雑誌名

      東京芸術大学美術学部紀要

      巻: 52 ページ: 33-50

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 『大正十二年関東震災殃死者名簿』に関して2014

    • 著者名/発表者名
      坂口英伸
    • 学会等名
      首都圏形成史研究会第91回研究例会
    • 発表場所
      青山学院大学
    • 年月日
      2014-04-05

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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