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2015 年度 実績報告書

震災タイムカプセルの研究:その起源、制作過程および影響について

研究課題

研究課題/領域番号 25580039
研究機関東京藝術大学

研究代表者

坂口 英伸  東京藝術大学, 美術学部, 講師 (00646440)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードタイムカプセル / 震災 / アーカイブズ
研究実績の概要

本年は、立教学校の定礎箱、大阪天満宮の鳥居に奉納されたタイムカプセル、湊川神社の鳥居に奉納されたタイムカプセルの事例を中心に据えた。立教学校の定礎箱は、厳密かつ正確に定義すれば、タイムカプセルではなく定礎箱であるが、タイムカプセルに類似する事例としては無視できないので、本研究の研究対象とした。立教学校の定礎箱は、1894(明治27)年の明治東京地震の事例である。当時は築地に所在の立教学校は同地震により校舎が倒壊、新校舎を建設するにあたり、校舎の基礎となる礎石の一部を空洞にして、定礎の記念として定礎式を挙行し、礎石の空洞部分に鉛製の定礎箱を埋め込んだ。この定礎箱に入れられた資料の中には、明治東京地震について述べられたものがあった。来たるべき定礎箱の開封を期して、明治東京地震の記憶を後世の人々に伝えようと試みたのである。同校が築地から池袋へ移転する際に礎石も一緒に運ばれ、新校舎の建設工事の際に礎石の中から定礎箱が「発見」された。定礎箱に残された記録から、地震の様子や当時の政治状況などをうかがい知ることが可能となった。立教学校の定礎箱は、震災タイムカプセルの一種とも見なし得る事例である。
また、阪神・淡路大震災の際には、大阪天満宮と湊川神社それぞれの鳥居の中にタイムカプセルが奉納された。地震により両神社の石製の鳥居が倒壊、耐震性に優る新設のステンレス製の鳥居の中へ、震災にまつわる資料を密封したのである。大阪天満宮の震災タイムカプセルは「御神退一千二百年祭」にあたる西暦2102年に開封の予定、湊川神社の震災タイムカプセルは納入より100年後の西暦2099年に開けられる手はずになっている。
震災の記録と記憶を伝えようとする強い意志が震災タイムカプセルを生み出したといえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 図書 (1件)

  • [図書] モニュメントの20世紀 タイムカプセルが伝える〈記録〉と〈記憶〉2015

    • 著者名/発表者名
      坂口英伸
    • 総ページ数
      265
    • 出版者
      吉川弘文館

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公開日: 2017-01-06  

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