研究課題/領域番号 |
25580046
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中川 真 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (40135637)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ギャラリートーク / 公務員 / 公共性 / アウトリーチ / ICT / アクセシビリティ |
研究概要 |
本科研の研究活動内容は大別して、1)CTV制作、2)インパクト評価、に2分される。 1)CTV 制作は、全国美術館会議加盟館をフィールドとして進める。 2)インパクト評価は、インターネット(CTV 視聴者) ならびに、近畿地方の3都市・3館をフィールドとする。 平成25年度については、概括的にいうならば、1)CTV制作は順調に進展したが、2)インパクト評価についてはやや遅れている。その理由は、CTVのコンテンツ量が依然として少なく、アクセス数が伸びないため、アクセス数を増大させるためにはコンテンツを増やす必要があり、そこへの注力に集中せざるを得なかった点がある。また同じ目的によって、CTV以外の参加型サイトである世界中のパブリックアートを集合知でインターネット上にアーカイブするプロジェクト MoPA(Museum of Public Art)を、予定外ではあったが同居させることによってアクセス数の増加をはかり、それは一定程度の効果を見た。すなわちインパクト評価の解析のための作業にやや時間をとられたのである。 また、CTVのサイトは大阪市立大学の学内サイトに研究用としてアップしていたが、将来の実用化、ビジネス化も視野にいれて平成25年度に一般財団法人化し、学外の研究連携パートナーとなったため、その移行処理に手間取ったという、研究の実務レベルでの遅延促進要素もあった。 2)のインパクト評価にかかわる、CTV 提供サイトのアクセス解析のためのシステムについては設計を開始し、試験的な実作業は行っているが、まだ汎用化には至っていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の当初計画は以下のようなものであった。①CTV 動画コンテンツを、全国の美術館に出張して撮影し、逐次、編集し、ウェブ公開していく。動画コンテンツを、20 編程度/6カ月のペースで作成する。②CTV 提供サイトのアクセス解析のためのシステム構築を行う。③CTV サイトでのウェブアンケートのためのシステム構築を行う。④来訪者へのアンケート/ヒアリング調査の設計を行う。⑤大学等の研究機関へのヒアリングを行う。 これに対して、平成25年度の実施については、①については全国の美術館に出張し、30件以上の録画を行うとともに、22編の動画コンテンツを新たにCTVサイトにアップし、公開した。②のアクセス解析のためのシステムは準備途次であり、そのトライアルに予想以上に時間がかかって、サイトにアップするに至っていない。③のウェブアンケートも同様である。④の調査設計については順調に進めている。 また、当初計画にはないこととして、CTVそのものの普及をはかる意味合いで、付加的なサービスを開始し、サイトへのアクセス数増加をもくろんだ。例えば、世界中のパブリックアートを集合知でインターネット上にアーカイブするプロジェクト MoPA (Museum of Public Art)の開始などがある。 以上の経緯からして、CTVそのものの新たなコンテンツは順調に組み込み、さらにMoPAなどを加えたものの、解析部門での計画が遅れていることから、現在までの達成度は「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、まずCTVコンテンツを100編以上ウェブ公開する。その段階から、インパクト評価に本格的に取り組む。インパクト評価の結果を踏まえて、CTV活用の方法論の確立・整理、ならびに、新知見を活かし改良されたCTV コンテンツの追加作成を行う。これまでの経緯からして、100編のウェブ公開は至難ともいえ、約70編が揃った段階で、インパクト評価作業の方へと漸次移行することを考える。 インパクト評価に分類される個々の研究内容については、①CTVサイトへのアクセス解析、②CTVサイトでのウェブアンケート、③来訪者へのアンケート/ヒアリング、④美術館等の関係者及びコミュニティへのヒアリングを行う。計画調書では3都市(京都市、大阪市及び神戸市)において3美術館としているが、ウェブ公開された美術館との関係を精査し、もう少し多い館においてアンケート、ヒアリングを行うことを試みたい。 波及効果シミュレーション、経済効果分析アンケート調査、ヒアリング調査結果、美術館等へのヒアリング結果を踏まえて、経済効果を推定するためのシミュレーションを行い、CTVの文化インフラとしての可能性を実証する。
|