| 研究課題/領域番号 |
25580052
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| 研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
佐倉 由泰 東北大学, 文学研究科, 教授 (70215680)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 都鄙観念 / 中心 / 普遍 / 空間の分節 / 日本文学史 / 日本文化史 |
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| 研究概要 |
本研究は、日本の都鄙観念のしくみと史的展開を考究することで、日本の文学史、文化史の本質を捉える新たな視点を確立しようとするものである。三年間の研究期間に、古代から近世前期に至る文学テキストの記述を調査し検討することを通して、日本の文学、文化の形を決定づけてきた都鄙観念について、（Ａ）その基本的なしくみ、（Ｂ）その史的展開、（Ｃ）この観念をめぐって浮かび上がる文学史、文化史にかかわる問題を明らかにすることめざす。
初年度の平成25年度には、主に、上記の三つの課題のうちの（Ａ）に取り組み、日本の都鄙観念のしくみを考察した。古代、中世、近世前期の文学テキストの記述と関連する論考を幅広く読んで考察を進めるとともに、実地調査も積極的に取り入れることで、観念による空間の分節や地域のアイデンティティーの形成に関する知見を広げ、深めることができた。その中で、都鄙観念というものがスタティックな二項対立の図式として捉えられないことが明らかになった。都とは中心であるとともに、普遍を指向する概念であり、機能、役割の面でゆらぎ、動態を含んでいる。一方、鄙とされる地域も、個別にアイデンティティーを具えつつ多様に分節されており、その意義や働きにもゆらぎ、動態が認められる。このように、都と鄙という分節にもとづく都鄙観念が実際に作用する場では複雑な動きを見せることがわかった。今後は、この理解を基盤にして、都鄙観念の史的展開を考えて行くことになる。
なお、上述の成果は現在論文等にまとめており、平成26年度以降の活動の中でそれを公表して行く予定である。また、平成25年度に、東北大学107周年萩友会関西交流会という同窓会の催し（平成26年3月1日開催）の中で、「『太平記』の時代の旅路をたどる―日本文化を発見的に考えるために―」と題する講演を行ったが、これは、本研究の成果を社会に還元することを意図したものでもある。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたとおり、都鄙観念の基本的なしくみを明らかにするという、平成25年度における所期の目標を達成することがかない、都鄙観念の史的展開を考えるという平成26年度の課題に、予定どおり取り組む準備ができたことから、順調に研究が進展していると評価する。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成25年度の順調な研究の推進を受けて、平成26年度、平成27年度には、当初の計画どおりに研究を行う予定である。
平成26年度は、平成25年度の考究の成果を論文等にまとめて公表するとともに、「研究実績の概要」に挙げた三つの課題のうちの（Ｂ）に取り組んで、日本の都鄙観念の史的展開を考察する。中世の文学テキストを主な考察対象として、京という中心に加え、鄙とされていた地域の中に鎌倉という新たな中心的磁場が出現して以降、中心が複数化し多元化するなかで、都鄙観念とその動態がいかに変容するのかを明らかにして行きたい。軍記物語、和歌、紀行文、早歌（宴曲）、謡曲、歴史物語等、中世の文学テキストに幅広く目を向けて、多様な記述を比較し検討することによって、中世の都鄙観念が内包する動態と、それが歴史的に変動する動態を捉えることをめざす。そのための調査、研究は、文献の閲覧、実地調査と成果発表に重点を置いたものになる。
最終年度の平成27年度は、先述の三つの課題のうちの（Ｂ）に取り組んで、日本の都鄙観念の史的展開をさらに考察するとともに、（Ｃ）に取り組んで、都鄙観念をめぐって浮かび上がる文学史、文化史にかかわる検討課題を整理する。都鄙観念の史的展開に関しては、応仁の乱以後の戦国時代、織豊政権期、近世前期の文学テキストの記述に注目して考究を進める。その上で、古代から中世を経て近世前期に至る都鄙観念の史的展開を通観し、都鄙観念のしくみ、力学の動態をまとめて提示するとともに、日本の文学史、文学史を捉える上で検討課題とすべき、都鄙観念をめぐる諸問題を明らかにし、その相互を関連づけ、系統化しようと考えている。平成27年度も、平成26年度と同様に、文献の閲覧、実地調査と成果発表に重点を置いた調査、研究を進めることになる。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、平成25年度の研究を効率的に推進したことによって生じた未使用額である。
この平成25年度の未使用額については、平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究執行において有効に使用する予定である。
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