研究課題/領域番号 |
25580060
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
加賀谷 真澄 秋田県立大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70635044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 私費留学生 / オランダ改革派教会 / グリフィス / ラトガース大学 / 渡米の手引き書 |
研究概要 |
平成25年度に予定していた、日本国内における渡米の手引き書の収集は完了し、次の作業として、アメリカに残された日本人留学生の資料調査を行った。調査対象としたのは米国東部、ニュージャージーのラトガ―ス大学である。時代範囲は、渡米の手引き書がブームとなる以前の最初の日本人留学生が入学した1870年から、明治の終わりまでとした。 中途退学、1学期だけの登録も含めると、約40年の間に、30人以上の日本人学生が在籍していたことがわかった。このうち卒業できたのは、約二割程度である。在籍者名簿には、日本人学生の身分や住所が記載されており、彼らが留学するまでのプロセスを推測する手がかりとなった。また、初期の日本人留学生については、グリフィスが記録を残しており、オランダ改革派教会が、日本人学生受け入れに、大きな役割を果たしてしていたことが確認できた。当時の授業内容、アメリカ人学生の出身地の記録、年間スケジュール、複数の奨学金が用意されていたことなどが資料として入手できた他、大学近くには、日本人墓地を訪れることもできた。これらの資料から、ラトガ―ス大学で過ごした日本人留学生の日常がどのようなものであったのか、具体像が浮かび上がってくる。彼らの多くはScientific Courseに登録しており、明確な目的を持って留学したことがわかる。彼らは、日本国内で公的な機関や、教会からの支援を得ていた。それにもかかわらず、4年間の学業を修了するのは、多くの者にとって困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の資料収集は地理的・物理的面で容易さのために、比較的早く完了することができた。アメリカにおける日本人留学生についての資料は、ラトガ―ス大学に保管されている資料が膨大であり、すべて調査するには数ヶ月かかると思われる。しかし、調査範囲を決めることで、予定通りに進展すると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は渡米の手引き書と実際に渡米した若者たちが残した資料を比較・分析し、社会が期待する海外雄飛する青年像と、留学した若者たちの実像を明らかにする。調査・分析結果は、Asian Studies Conference Japanや移民研究会などで発表し、国内外の研究者から意見をもらう。その後は論文化し、発表していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究は、海外調査が主であったため、資料のコピー代や交通費が、現地に赴くまで把握しにくかったことが理由として挙げられる。 今年度は、国内の学会発表(国際学会も含まれる)と、同じセッションで発表する仲間と発表前のミーティングを予定しているため、交通費と資料作りに使用する。
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