研究課題/領域番号 |
25580073
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
鳥越 輝昭 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (50164075)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ローマの表象 / 古代ローマの表象 / ナショナリズム / カトリック教会 / 都市生活 |
研究実績の概要 |
①研究論文「「ヴィットリアーノ」の外と内―ヴィットリオ・エマヌエーレ2世国立記念堂に見る〈ローマ〉―」(神奈川大学人文学会『人文研究』第184集、2014.12)を発表。この記念堂外面に見られる幻想の古代〈ローマ〉表象と内面に隠蔽されたカトリック礼拝堂とをめぐり、歴史過程のなかでキリスト教会に転用された古代多神教建築パンテオンの外面・内面の変化とも対比しながら、近代イタリア王国政府とカトリック教会とのあいだの対立と競合、ムッソリーニ政権によるイタリア王国政府のナショナリズム政策の延長と利用とについて論じた。 ②上記論文の発表に先立ち、勤務先内の共同研究会で、同名「「ヴィットリアーノ」の外と内――ヴィットリオ・エマヌエーレ2世国立記念堂に見る〈ローマ〉――」の口頭発表を行った(2014.10)。 ③共著(鳥越輝昭、熊谷謙介、S・ブッヘンベルゲル)『18世紀ヨーロッパ生活絵引―都市の暮らしと市門、広場、街路、水辺、橋―』(神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター、2015.7出版予定、約200頁)のなかの、「まえがき」、ロンドン、ヴェネツィア、ローマの部分などを執筆、現在再校の校正中である。本書は、18世紀当時の画家たちが、ロンドン、パリ、ミュンヘン、ウィーン、ヴェネツィア、ローマの光景と生活とを主題として制作した絵画・版画、すなわち同時代による5つの都市とその生活の表象54点を素材として、図版解説、部分名称表示、索引を整えたものである。ローマについては、10点の絵画・版画を取り上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由は、2014年度は、学内の役職(大学院研究科委員長)に関わる業務、ならびに担当組織に関する自己点検評価報告書(大学基準協会へ提出)作成のために多くの時間を割かねばならず、当該研究に使える時間が予定よりも半減したためである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、非文字資料の面で、ピラネージ(1720-1778)によるローマ景観画・廃墟画、ジュゼッペ・ヴァージ(1710-1782)によるローマ景観画、古代建築パンテオン(=殉教者の聖母マリア教会)の使用・受容・刺激の歴史過程を分析中である。並行して、文字資料の面で、マキャヴェッリ、モンテスキュー、ギボン、ミシュレ、モムゼンによるローマ史(史論)、およびバイロン、シャトーブリアン、スタンダールなどによるローマ表象を分析中である。とりわけピラネージについては、史論などとの興味深い関係を指摘できそうである。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由は、2014年度は校務が連続し、当初予定していた都市ローマ等への実地調査を実施することができず、予定旅費が未使用となったからである。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度は、8月後半に都市ローマ等への実地調査を実施する予定であり、すでに日程を調整済みで、航空券・宿泊場所等の手配を完了している。
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