研究課題/領域番号 |
25580085
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 和子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80350239)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 語用論的変異と変化 / でしょ(う) / だろ(う) / 接触言語変種 / pragmatic change / desho(o) / daro(o) / contact variety |
研究概要 |
本研究では、複数の接触言語のディスコース・語用論的変化に共通する特徴を検出することを目的とし、接触言語の形成過程、言語変容の対話上の機能(interactional functions)および社会的・情緒的機能(social and affective functions)、さらに言語内的・外的諸要因を緻密に調査分析している。 具体的には、①パラオ日本語でみられる「でしょ(う)」「だろ(う)」の新用法、②パラオ英語の「address terms」、③ニュージーランド英語とオーストラリア英語の「high rising terminals」、④ニュージーランド英語・ニウエ英語の「eh」との比較研究を行い、「話しことばの普遍的特性(Vernacular Universals)」の応用性を考察している。 本研究は、(1) 接触日本語と接触英語を比較することで、これまで単一言語内(さまざまな英語変種内)で構築されてきた上記の理論を、言語の垣根を越えて検証する初めての試みであり、さらに、(2) 検証範囲を従来の音韻・統語論レベルから、ディスコース・語用論レベルにまで拡張しようとする挑戦的な研究である。 初年度の研究として、今年度は①パラオ日本語の「でしょ(う)」「だろ(う)」の新用法に関する言語変容の対話上の機能および社会的・情緒的機能、さらに言語内的・外的諸要因を調査分析した。途中段階ではあるものの、これらの研究成果を国際学会にて報告し、そこで得られた関係専門家によるフィードバック等を参考にしつつ、編著書『オセアニアの言語的世界』にて「パラオ日本語の語用論的変異と変化」として刊行したところである。来年度は、上記②③④に関しても、同様の分析手法を行いて考察を重ね、ディスコース・語用論的変化に共通する特徴の検出を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りパラオ日本語の語用論的変異と変化の様相を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度から調査予定のパラオ英語に関しては、先行研究が皆無であることから分析に時間を要することは必至である。最終年度の総括に多少のしわ寄せがもたらされることは避けられないが、申請当初の目的自体はおおむね達成できるよう取り組む予定である。
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