この研究では、日本の聴覚障害者(手話の母語話者)が表現する日本手話と、健常者(手話の非母語話者)が表現する日本語対応手話との相違を研究し、手話の表現様式の多様化について社会言語学的観点から考察した。 ろう者と手話についての理解と関心が一般社会に広がる要因には、昨今ブームになっている手話検定試験の普及と、手話言語法制定への社会的動きが大きく影響している。一方で、手話の普及が日本手話の表現様式に及ぼす影響も大きい。健常者の手話は日本語文法に合わせた様式になりがちであるが、ろう者の手話も健常者の日本語に合わせた表現へと変化している。日本手話の変容には賛否両論あるが、変容は手話の普及の証である。
|