研究実績の概要 |
本研究は、言語表現の様々な特性のうち、特に句構造の内心性および対称性が言語計算に及ぼす影響を、理論言語学および脳科学実験双方の観点から究明することを目指して行なわれた。 3年の研究期間を通じて行なわれた成果は、単著『Endocentric Structuring of Projection-free Synyax』(John Benjamins社より2014年12月刊行)および福井直樹(上智大学)との共著『Synmmetry-driven Syntax』(26年度査読を終えて受理・27年度Routledge社と出版契約締結、28年度刊行予定)に包括的にまとめられている。また、研究内容の一部を寄稿し、論集『言語の設計・発達・進化』(藤田耕司 他 編、開拓社、2014年)および『Advances in Biolinguistics』(Fujita & Boeckx, eds., 2016, Routledge)へそれぞれ2篇ずつ論文として受理・出版された。その他にも複数の会報論文、招待講演や学会発表を行なった。 さらに、研究期間を通じて東京大学の酒井邦嘉研究室と共同で脳科学実験を計画し、特に再帰的埋め込み構造と等位接続の並列構造の処理負荷の差異を追究するfMRI実験を行なった。そこで得た成果を国際学会The 1st Physics of Language (POL 2016) Confererence(於上智大学, 2016年3月)にて発表する機会を得た。現在その成果を論文として執筆中である。 また、本研究費の一部助成を受けてN. Chomsky(著) The Science of Language の翻訳を進め、脱稿、初校校正読みまで終えることができた。翻訳書籍は『チョムスキー 言語の科学』として岩波書店から2016年5月13日に刊行することが決定している。
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