本研究では式亭三馬の蔵書が三馬の言語描写に及ぼした影響を、国立国会図書館所蔵の三馬蔵書印書の調査から考察し、①三馬蔵書印書の分類、②三馬蔵書に見られる唐話資料と三馬著書との関係、③蔵書印書の識語を資料とした三馬自筆の仮名字体の特徴に関し報告を行った。また、三馬の蔵書を知る手がかりとして使用した三馬自筆の『式亭雑記』の翻刻と平仮名用字法の調査も併せて行った。 これらの調査を通し、三馬の蔵書に見る唐話資料が三馬の言語描写に影響を与えていることを示した。また、三馬の平仮名用字法を知る上で、三馬自筆の識語調査、並びに自筆本『式亭雑記』が有効であることを明らかにした。
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