研究課題/領域番号 |
25580104
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (80415174)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 言語発達 / 特殊モーラ / 大脳半球左右機能差 / 弁別 |
研究概要 |
本研究は、日本人乳児を対象に、日本語の特殊モーラを含む音韻対立に対する弁別能力と脳反応の発達過程を調べ、既知の発達過程を拡張した包括的な音声知覚発達指標の構築を目指す研究である。 本年度では、特殊モーラを含む音韻対立として、日本語における長短母音対立に着目し、先行研究 (Sato et al., 2010) で用いられた刺激に対する乳幼児の脳反応測定を実施した実験結果を論文として公表する準備を進めた。論文として公表する研究結果は、生後10ヶ月より若い日本人乳児では長短母音対立に対する左優位性がはっきりとは確立されていないが、生後1年を超えると左優位に長短母音が処理されるというものである。なお、母音対立(「まな」対「みな」)に対する脳反応に関しては、10ヶ月より月齢が高くなると左優位性が確立されていた。また、これまでの研究においても、日本語における母音の対立やピッチアクセント変化に対して、日本人乳児は生後1年内に左優位性を示すことが報告されていたが、今回論文に記した研究内容は、それらの音声とは異なる発達パタンを経て長短母音対立が獲得されることを示す。この結果は、行動実験 (Sato et al., 2010)で示された結果(弁別能力の発達が他の子音や母音による音韻対立より遅い)を脳機能側面から裏付けることになり、日本語の特殊モーラを含む音韻対立の発達の特異性を示唆する。 また、撥音(「まな」対「まんな」)や二重母音(「まな」対「まいな」)を含む音韻対立の弁別能力を調べる行動実験の結果をまとめ、生後半年までに両者の発達が異なっていることが観察された。これは特殊モーラ間でも発達パタンが異なるという新たな知見を提供し得る可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおよそ予定通りに研究が進んでいるものの、平成25年度中に異動があったため、当初の計画通りに進めることは困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
異動があったこともあり、本研究の推進にあたり、研究分担者もしくは協力者を迎え入れ、さらなる進展を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度において異動があったため,当初の予定すべての遂行が困難であったため。 研究分担者に新たに入ってもらうことを予定しており,その分担者が実施する実験において次年度使用額を含めて使用する。
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