研究課題/領域番号 |
25580131
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
寺西 雅子 (那須 雅子) 岡山大学, その他部局等, 准教授 (50311098)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 英語教育 / 外国語学習 / 外国語学習の成功者 / オーラルヒストリー / インタビュー分析 / 質的研究 |
研究概要 |
平成25年度の研究実績は、(1)英語上級者へのインタビューを実施とオーラルヒストリーの蓄積(2)蓄積した音声データの書きお越し作業、および(3)研究成果発表にまとめられる。 (1)に関しては、日本語習得者のアメリカ人を含む社会人7人と大学生3人のあわせて10人のインタビューを実施した。それにより平成25年度末までのサンプル数が総計45人となった。(2)に関しては、インタビュー内容の充実しているサンプルを優先的に選び15名分の書きお越し作業を完了させた。成果報告としてホームページへの掲載準備を進めるために、さらに、これらの書きお越し原稿の整理と推敲および分析を開始している。(3)の研究成果発表としては、岡山英文学会第36回大会において、「「達人」の外国語学習に関する質的研究」の口頭発表を平成25年10月5日(土)に行った。また、JAILA(日本国際教養学会)第3回全国大会においては、「外国語学習「達人」に学ぶ」の口頭発表を平成26年3月16日(日)に行った。 初年度である平成25年度の最優先事項は、インタビュー収集の蓄積であったが、各インタビューでは、それぞれの対象者に応じて詳細な聞き取りを行うために十分な時間を要してきた。すでに高度な英語力を獲得している社会人を対象とするインタビューでは、包括的な学習履歴を詳細に聞き取ることのできた大学生、大学院生へのインタビューでは、学習進行中の詳細さと鮮明さがあり、達人予備軍として具体的な学習履歴を記録することができている。インタビューの対象が学生の場合、高校生から大学院生とそれぞれの年齢における外国語学習の成功事例が収集でき、社会人については、研究者、通訳者、ビジネスマンなど多様な職種にインタビュー対象者を拡大した。様々な職種・世代の外国語習得者および学習者の履歴を蓄積できたので今後に役立てたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が「おおむね順調に進展している」と考えられる点として、(1)インタビュー実施によるデータ蓄積が進んでいること、(2)その音声データの整理分析が進んでいること、そして(3)研究成果の発表が挙げられる。 (1)のインタビュー実施では、広い年齢層や様々な職種の対象者にインタビューを実施できた。このことにより、本研究の試みの1つである、多様な学習環境にある外国語学習者の成功事例を提示するために必要なデータを入手できている。また(2)のデータの文書化と整理分析は、大変時間のかかる作業であるが、それを進めていく具体的手順が明らかになり、着実に音声データの文書化を進めることができている。特に参考になるインタビューを優先的に抽出してこれまでに15本の音声データを文書に書き起こすことができている。そして、(3)そのデータの整理・分析に基づいて、岡山英文学会および日本国際教養学会において、成果報告を口頭発表の形で行うことができた。 反省点としては、ホームページ作成の準備が当初の計画より遅れている点である。これは、音声データの整理が予想よりも時間のかかる作業であることが要因であると考えている。しかしながら、今後の計画を進めるための作業時間の実際的な予測ができるようになったことは、評価できる。ホームページ掲載は遅れているものの、それに向けての準備は着実に進められている。以上の理由により、これまでの達成度を「おおむね順調に進展している」と評価したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究活動としては、(1)引き続きインタビューを行い、(2)それらを整理・分析し考察していくとともに、(3)研究成果発表について、ホームページの開設、論文執筆を含めて積極的に進めていく予定である。 (1)については、インタビューの対象者の選定をより慎重に行いたい。特に、これまでのインタビューを実施して困難があると考えられるのは、対象者が高度な外国語習得者であるという点を明らかに示す客観的根拠を得ることであった。この点について、より配慮をしてインタビュー対象者を選定し、またその対象者の情報をより詳細かつ正確に把握できるようなインタビュー内容を聞き取れるよう対応したい。(2)については、インタビューを整理する作業が非常に時間のかかる点を踏まえ、研究支援者の協力を得ながら効率的かつ計画的に進めていく。(3)については、整理されたインタビュー内容の掲載が可能になるようホームページ開設を行いたい。そして、現在進行中であるがPalgraveより予定している英語論文集への論文執筆を完成させ、成果報告を世界の研究者に向けて行いたい。 平成26年度は、3年間の研究期間の2年目であるので、さらなるインタビューの蓄積と並行し、その分析整理を重視して研究を推進していく予定である。
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