研究課題/領域番号 |
25580132
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
上斗 晶代 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (60196665)
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研究分担者 |
島岡 丘 筑波大学, その他部局等, 名誉教授 (20015382)
西尾 由里 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20455059)
伊達 民和 プール学院大学, 国際文化学部, 名誉教授 (50207271)
市崎 一章 呉工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70534288)
谷口 雅基 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (90163633)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 英語音声 / 日本人学習者 / CEFR / 英語音声指導 / 英語音変化 / 英語音声教育 / 英語音声共通参照枠 / 全国アンケート調査 |
研究概要 |
日本人学習者と指導者のための英語音声共通参照枠の構築に向けて,学習者の発音と音声教育の実態を把握するために,全国の小学校教員と中学校から大学までの英語教員,英語教員志望の大学生・大学院生を対象にオンラインアンケートを実施した。また,日本人学習者20名が発音した英語音変化と音変化の認識について調べた。 アンケート有効回答数(教員128名,学生34名)の分析の結果,学習者が発音できると教員が評価した音声項目は44項目中3項目(文タイプに応じた基本的イントネーションの使用など)であった。これらは学生による発音自己評価も高かった。音変化やリズムなど17項目は教員評価が低かった。学習者にとって発音が難しいと教員が判断したのは10項目中2項目で,そのうち,母音・子音は指導上でも困難を感じる教員が最も多かったが,リズムと共に小学校から学習目標とすべき筆頭項目に挙がった(63.2%)。 小学校教員は英語音声に関する知識の有無や自己の発音に対する自信の有無を問う項目に否定的な回答をした率が高いのが特徴的であった。このことが,英語の発音指導に対する自信のなさ(75.0%)の要因の一つと推測される。また,発音指導の頻度にも校種別相違がみられ,中学校が最も高く,高校以降減少していくことがわかった。 学生は自己の発音評価が高く,44項目中36項目で肯定的な評価をした反面,自己の発音に対する自信については50%が否定的な回答であった。これは発音指導の自信のなさ(45.5%)にも繋がっていると考えられる。 学習者の読み上げ音声の正答率は,同化(26.3%)が単語間連結(29.9%)や子音脱落(27.5%)より低かった。音変化の認識については,子音脱落(18.8%)が最も低かった(同化34.4%,単語間連結31.1%)。アンケートでは学生の自己評価は高かったが,実際の発音はそうでない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画である英語音声指導と学習者の英語の発音の実態を把握するための全国オンラインアンケート調査を実施した。集計結果の分析により,小学校から大学までの学習者の発音の実態と音声指導の状況などについて把握した。英語教員志望の学生の自己の発音評価や音声指導に関する意識を集約した。 また,先行研究からの情報が少ない音変化について,学習者の英語音声を独自に採取して音響解析を行うことにより,実態を把握することができた。また,発話者が音変化をどの程度認識しているかについて,質問紙による調査を行った。 オンラインアンケートにおいては,英語音声を研究専門分野とする教員を対象に,段階別に学習目標として設定すべき音声項目に関する設問を設けて意見を収集し,資料の一部とした。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインアンケート結果と英語音変化についての学習者の音声分析結果,及び先行研究文献をもとに,日本人学習者と指導者のための英語音声共通参照枠を作成する。英語学習入門期(小学校英語活動などを想定)から上級レベルまでの各段階において,英語音声の到達目標を設定し,Can Do記述文を記載する。CEFR, CEFR-Jへの対応も検討する。学習者用ポートフォリオ,指導者用ポートフォリオ作成も念頭に置く。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初,アンケート調査は質問紙法で実施する予定で,データ処理補助のための謝金を計上していたが,オンラインで行うことに方針を変更したことで,謝金が予定よりも少額となったため。 平成26年度には学会での成果発表や打ち合わせ会議が多くなることが見込まれ,その旅費として執行する計画である。
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