研究課題/領域番号 |
25580133
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
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研究分担者 |
金 情浩 東北大学, 文学研究科, 研究員 (70513852)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パソコン / 脳科学 / fMRI / 言語の社会性 |
研究概要 |
母語が「育つ」ためには他者との係わりが必要であることが知られている。認知機能である視覚もその成長には、外的な刺激が必要であるが、必ずしも「他者との相互作用」を必要としない。しかし、子供にテレビやCDからの音声刺激を与えただけでは、子供は母語獲得に成功せずに、「他者からの働きかけによる刺激」を通して初めて言語獲得に成功する。 現在、英語学習には、パソコンが幅広く利用されている。しかし、人間を介さないパソコン学習が、大人の外国語習得に効用があるとする確たる証拠は存在しない。本研究は、大人の外国語学習において、母語獲得同様に、「他者との相互作用」が必要なのかどうかを、「教員との係わり」が直接ないパソコン学習を対象として、学習前後の脳機能測定を行うことで明らかにすることを目的としている。 研究初年の平成25年度は、プロジェクト全体の基盤を形成することを目標とした。まず、外国語学習における「社会性」の影響を調べるために、社会神経科学 (social neuroscience)の文献調査を行った。さらに、外国語として日本手話を学ぶ場合の社会性に関して、申請者チームが行った脳科学実験のデータを、最近の脳科学の知見を考慮して再分析を行った。分析の結果、脳機能の変化を伴う「深い学習」のためには、DVDによる学習では不十分で、「教師との相互作用」を通した学習が必要であることが明らかになった。この研究成果は、二つの国際学会と、国内のワークショップで発表し、専門家との意見交換を行った。さらに、この研究発表に基づき、研究論文を海外の専門誌に投稿するために、論文を執筆中である。 また、平成26年度の実験にむけて、パソコン学習の専門家および脳科学者との実験準備の打ち合わせを行い、意見の交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パソコン学習が外国語教師に取って代われるのかという本研究の目的を達成するために、外国語を教師である人間を介して学んだ場合と、DVDを通して学んだ場合の相違を、行動実験、および脳活動から測定した実験データの最終解析を終え、研究成果を国内外の学会で発表し、論文を執筆中であり国際的専門誌に投稿予定である。また、本研究で明らかになった教授効果と脳科学の問題に関しても、論文を執筆中である。 また、次年度の実験に関しても、関係者との打ち合わせを行い順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度の研究成果の成果をもとに、外国語のパソコン学習の場合に、どのような要因が加わると、人間を介した場合と同じ脳機能変化を起こすのかを探る。 また、教室での教授効果が脳機能に及ぼす影響に関して、専門誌から執筆依頼をうけ投稿予定である。 さらに、関連学会で研究成果を発表し、当該分野の研究者の意見を聴取する。
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