平成26年度は、前期に日本人学生を対象とした調査、中期に前年度の調査結果の分析と成果の発表、後期に今年度前期に実施した調査結果の発表をそれぞれ行った。前期の調査は、日本人大学生59名を対象に次の手順で行った。同一言語材料だが録音者が異なる(①マレー系、②中国系、③インド系のマレーシア人)音源を3つ準備した。大学生59名のうち、19名に①マレー系マレーシア人の録音について、20名に②中国系マレーシア人の録音について、残りの20名に③インド系マレーシア人の録音について、それぞれシャドーイングを求め、復唱量を調査した。中期には、前年度マレーシアで行った調査結果のまとめと成果の発表を行った。調査結果についての詳細な分析では、マレー系およびインド系グループのシャドーイング量の平均に有意な差は認められなかったが、中国系マレーシア人のシャドーイング量の平均は、他2つのグループと比較して、有意に低いことが明らかになった。これらの結果を9月に学会発表した。後期には、まず、今年度日本で実施した日本人大学生を対象とした調査結果について詳細な分析を行った。その結果、シャドーイング量は全体の平均で約60%であったこと、3つのグループのシャドーイング量に有意な差がなかったこと、の2つの知見を得た。また、前年度マレーシアで行った調査結果との比較検討を行った結果、中国系マレーシア人のシャドーイング量の平均と、中国系マレーシア人の録音についてシャドーイングを行った日本人学生のシャドーイング量の平均との間にのみ、有意な差が認められた。これらの調査結果を平成27年2月に学会発表した。
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