研究課題/領域番号 |
25580137
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
笹島 茂 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80301464)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教師研究 / 言語教師認知 / フィンランド |
研究概要 |
本研究は、言語指導にかかわる教師の認知(ビリーフ、知識、思い込みなど)の探求を目的としている。また、本研究は、欧米の探索的な質的調査方法(インタビュー、観察、懇談)では明らかにしにくい複雑な言語教師の認知を日本的な思考と複雑性理論(Complexity Theory)を応用した「全体を見る」手法を用い、言語を指導する教師の認知の特徴を探索的に調査することを意図している。平成25年度は、これまで集めたアンケート調査を整理しまとめた。フィンランドの言語指導に関する教師の認知と日本の英語教師の認知の概要をまとめ、研究の方向性をある程度確定し、実際にデータの収集を実施し、分析を進めた。具体的には、1)調査方法を検証し、2)対象教師の言語観、言語指導観、読解リテラシーなどの特徴を分析しながら、言語指導という概念を検証し、この分野の研究の内容と調査方法の方向性を、複雑性理論を応用し分析した。データは、アンケート、インタビュー、観察などを組み合わせ、調査者と被調査者のリフレクシビティを機能させ、質的に分析された。また、それだけでは不十分であるので、これまでの研究データにさらに重層的に積み上げることで、言語教師をめぐる周辺的データも同時に収集しながら、調査者の探索的思考を重視しながらも、プロセスを重視し、客観性を高めるための工夫を取り入れ、次のステップの準備を進めている。当初の具体的な目標である、1)言語教師の認知の調査方法の開発に関しては、方向性を示し、検証段階にあるが、2)言語教師の認知が与える授業と生徒の学習への影響に関しては、さらに複雑であることから持続的な調査が必要であることが見えてきている。さらに、目標の3)言語教師の認知に関する複雑性理論の応用は、その萌芽は確認できたが、現段階ではその一歩に過ぎないことが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のある部分では、順調に進んでいるが、実際にデータの収集を始め、分析して見ると、フィンランドと日本の言語教育の状況を知る必要が生まれ、また、2国に限らないその他の国の状況の理解も必要であり、教師と授業の複雑な状況が分かれば分かるほど調査の困難さが明らかになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
2)言語教師の認知が与える授業と生徒の学習への影響と、3)言語教師の認知に関する複雑性理論(Complexity Theory)の応用に関しては、大きな課題が見えてきている。今後の本研究課題を推進するためには、様々な言語教師の認知を探求し、複雑性理論の言語教師認知における枠組みを明確にして、研究の枠組みを構築する必要性が急務となった。別の言い方をすると、この1年間である程度の大枠が見えたということであり、その可能性は次の研究のステップとなるので、今後も研究費を申請し、探求を続ける必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月から4月にかけて学会出張があり、請求を次年度分に回した。 上記のとおり、すでに支出しているので、次年度分と一緒に請求する。
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