研究課題/領域番号 |
25580149
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
青木 祐一 学習院大学, 文学部, 講師 (50632676)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アーカイブズ学 / 移民アーカイブズ / ブラジル日本移民 / 移民史 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ブラジル日本移民関係資料について、民間レベルにおける移民事業に関わった機関・団体、もしくは移民個人によって作成・蓄積された記録史料群(アーカイブズ)を対象に、アーカイブズ学の手法を用いた整理、編成・記述、保存、利活用および公開方法の検討を通じて、最終的に「移民アーカイブズ」の構築を目指すものである。 国内調査については、主たる調査対象である日本力行会(東京都練馬区)の2代目会長であり、ブラジルへの移民事業および移殖民教育を推進した永田稠(ながた・しげし)の記録である「永田文書」について、引き続き調査を行った。当該資料群については、アイテムレベルでの目録作成がほぼ終了し、今後はシリーズ編成を行って目録を完成させる。また、デジタル化を含めた利活用の方法および適切な保存環境について、検討を行う。 海外調査については、2015年9月にブラジル・サンパウロ市で3回目の実地調査を行った。対象となるサンパウロ人文科学研究所へ寄贈された「コロニア知識人」の資料群について、段ボール箱・約50箱分の資料を寄贈者別に概要調査を行った。2016年度中に補足調査を1回実施し、調査を完了する予定である。資料群ごとの概要目録を完成させることで、資料を利用できる環境を整え、同研究所に対して今後の公開・保存体制について提言を行う予定である。 また、2015年10月24日には前年度に引き続き、ブラジル日本移民を対象とした記録映像を制作している映画監督・岡村淳氏を講師として、第2回目の上映会・講演会を学習院大学で開催した。当日は、映像作品「旅の途中 橋本梧郎と水底の滝・第二部」および「大東亜戦争は日本が勝った!ブラジル最後の勝ち組老人」の上映と監督によるレクチャーを行い、一般参加者を含めて、活発な議論が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の転職および所属変更に伴う本務との兼ね合い、また2014年に生まれた子の養育のため、十分な調査・研究時間を確保できなかった。そのため、1年間の研究期間の延長を申請し、承認を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまで継続してきた国内外の2つの機関が所蔵するアーカイブズ資料群について調査を完了させ、各資料群の構造を分析・編成し、資料目録を完成させる。 また、今後の資料の公開体制や保存環境、デジタル化や展示を含めた利活用の方法について検討する。 上記を踏まえて、2つの機関が所蔵するアーカイブズ資料群の目録および機関に対する公開・保存体制に関する提言等を含めて、「移民アーカイブズ」の構築に向けた最終的な研究成果を取りまとめ、2016年度中に刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブラジルでの海外調査を2回を予定していたが、1回のみの実施となった。また、物品費についても、PC機器等の購入を予定していたが、使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費として、海外(ブラジル)調査1回、国内での補足調査1、2回程度の支出を予定している。また、物品費としてPC機器や資料保存器材等の購入および最終成果報告書の印刷・刊行費用を見込んでいる。
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