ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)が関わった雇用促進局(Works Progress Administration:WPA)の連邦芸術計画(Federal Art Project:FAP)の意義を明らかにし、ポロックがFAPの壁画・画架部門に参加して、「形象」と「具象」を動的に融合させことを明らかにした。これはポロックが、ヨーロッパとは異なる独自のアメリカ・モダニズムを追い求めたためであり、このアメリカ・モダニズムが、第二次大戦後のアメリカのパブリック・アート政策に大きな影響を与えていることも明確になった。 このような成果は、FAPやグッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)からの資料によって得ることができた。特に、ペギー・グッゲンハイム(Peggy Guggenheim)がポロックを見出したことから、初期のポロックはグッゲンハイム美術館との関わりが深く、ニューヨークのグッゲンハイム美術館資料室(345 Hudson St. New York)から多く情報を得ている。 しかも、ペギー・グッゲンハイムがイタリアに多くの資料や作品を持ち帰り、ペギー・グッゲンハイム・コレクションが公開されているのでPeggy Guggenheim、本年度は、2015年8月30日から9月9日まで、イタリアのグッゲンハイム・コレクション(Peggy Guggenheim Collection、ヴェネツィアのカナル・グランデ沿い)に対する調査と資料収集も実施した。さらに、事前にペギー・グッゲンハイム・コレクションに問い合わせたところ、有益な資料がBiennale LibraryとHistorical Archivesにあることも分かり、イタリア調査によって、こちらからもポロックに関する資料と情報を得ることができた。その結果、ポロックに関する未開拓の資料が多く存在することも分かった。
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