最終年度において、弥生時代前期水田の土壌の化学分析と炭素安定同位体比分析を実施た。これらの成果と他の研究成果(花粉・種子・プラントオパール分析、および弥生時代前期水田土壌を用いたイネの栽培試験)との比較解析から、弥生時代前期水田における土壌からの窒素供給力とイネ・雑草の生育状況との関係をラオスにおける先行研究の成果を用いて明らかにすることを試みた。 研究機関全体を通じた、奈良県御所市の秋津・中西遺跡で検出された弥生前期の小区画水田群を対象にした栽培学調査と考古学調査から、① 弥生前期における水田土壌の窒素供給力および② 同期における雑草の発生状況を推定し、③ 調査地の微地形(水田の水環境に影響する高低差など)と①・②から得られるイネ生産力の水田間変動との関係を解明・地図化し、弥生前期における小区画水田群でのイネ生産力の全体像を明らかにするために必要な栽培学研究と考古学研究を融合した学際的データを得ることができた。
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