本研究は、日本各地の地方都市に形成、展開されてきた花柳界(芸妓、料亭、待合茶屋、検番、置屋、芸事の師匠などからなる社会)と花柳界周辺の社会を対象に、花柳界文化の歴史的変遷、および近年顕著になりつつある文化資源化の実態について、民俗学的方法による全国調査を実施し、地域的特性と全国を俯瞰した全体像を明らかにすることを目的として実施した。 その結果、株式会社やNPO法人、財団等の設立による花柳界の存続、「舞妓の前景化」現象、花柳界存続と都市祭礼の関係、伝統的花柳界と観光用に再創造された花柳界との葛藤、花柳界における「芸妓」と「娼妓」の間の複雑で流動的な関係などについて多くの知見を得ることができた。
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